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 こんばんは。

 今日は,かねてからよく問題視されてきた再婚禁止期間と夫婦別姓に関する論点について,最高裁が大法廷に回付して憲法判断を示す見込みであるというニュースがありました。

 まず,再婚禁止期間については,民法において,女性のみに離婚後6ヶ月間の再婚を禁止するという規定があり,それが法の下の平等を定めた憲法に反するのではないかというものです。
 明治時代に民法が定められた際には,女性が離婚後直ちに結婚するとなると,離婚後の子どもが再婚前と再婚後のどちらの子どもか分からなくなるとして,再婚禁止期間に関する規定を設けました。
 しかし,その後DNA鑑定の技術が発達し,誰の子どもかわかるようになってきたことから,法律が前提としている状況が変わった以上,女性にだけ再婚禁止期間を定めるのはどうなのかという議論はかねてから起こっていました。

 次に,夫婦別姓については,民法において,夫婦は同姓を名乗ると定めた規定があり,それが一方の姓を名乗ることを強要するのではと,心情・信仰の自由や男女平等を定める憲法に反するのではないかというものです。
 これについても,姓を変更することを躊躇うことによって事実婚を続けることになったものの,法律婚と事実婚では受けられる保護や権利の内容が異なるとして,かねてから議論が起こっていました。

 私は,ここで現在の民法の規定が憲法に反するかどうかを議論するつもりはありません。
 また,これらの問題は様々な価値観や,世代や時代によって変わる世界観等も問題になるのであり,私は軽々に論じることも難しいと思います。

 ただ,いずれの憲法判断についても最高裁が行うことは初であり,その点では最高裁はこの問題に対して判断を下そうという姿勢を示したことは大いに評価されるべきであろうと思います。

 ですが,私としては,できればこのような問題は国会で対処すべきものであろうと思います。
 もちろん,裁判所は憲法の番人でありますから,現代において憲法に反すると評価されるものについて最終的に判断を下すというのは裁判所の役割であることは間違いありません。
 しかし,上記のように,今回の問題は,歴史的にずっと問題にされていた論点であり,民意も世代や時代によって様々異なるものであろうと思います。
 そういう論点について,国民に対して責任を負うのは,裁判官ではなく,国民から投票で選ばれた国会であろうと思うのです。

 これらの論点がこれまで国会で何度も議論が重ねられ,その末に今の状況に至っていることもよく分かっています。
 ですから,国会が怠慢であるということを述べるつもりはありません。
 そして,国会で変えられないからこそ,裁判所の力を借りようという姿勢も当然のことと思います。
 ですが,国会の方からメッセージを発信する方が,国民に対して責任を負う立場として,その責任を果たすということになるのではないかと思います。
 政党の中には,この論点について賛否を示していないところもあると聞いておりますし,かつては活発になされた議論を今一度再開してもよいのではとも思います。
 時代や世代によって考え方が変わるであろう論点ですから,時が経てばその議論を再開してもよいようなものだと思います。ですから,かつて議論をしたこれらの論点について,この件を契機に,もう一度国会で議論をよくしてもらえないだろうかと思います。

 日本は少子化であるといわれて久しく,それを打開する有効打もないのですが,これらの論点はそういうところとそれなりに関係があると思います。
 ですから,今一度,この論点を話題に出して,よく議論をして民意を検討してもらいたいものだと思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。

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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:14
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