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 こんばんは。

 今日のニュースを見ていたら,佐賀県において,男子生徒がいじめを受けてPTSDになったとして,加害少年と保護者,市を相手に慰謝料請求など合計1奥2700万円を請求する訴訟を提起したというものを見たので取り上げてみました。

 訴状などによると,生徒は,市立中学に入学直後から,約7ヶ月間の間,同級生からエアガンで撃たれたり,校内外で窒息寸前まで首を絞められるなどの暴行を受けたりしたということでした。
 また,加害生徒の1人が学校にいじめを通報するまで,担任教諭らは暴行を目撃しながら,いじめと判断せずに放置したということです。
 さらに,男子生徒の自宅に同級生が押しかけて何度も呼び鈴を押したりしたことを母親が学校に相談したにもかかわらず,学校は適切に対処しなかったということでした。
 その後の市教委の検証や両親への事実報告も不十分だったということです。

 民事訴訟が提起されたばかりで,事実関係は不明ですから,この件についていじめがあったのか,不適切な対応があったのかなどについてここで言及することはできません。
 ただ,民事訴訟の場合,訴えた方が訴えた内容を証明しなければならないというルールがありますから,今後被害生徒側が主張しようとしている内容を証拠で証明しようということになるのでしょう。

 一般論として,いじめの事件に取り組む場合,被害者側にとってはなかなかハードルが高いのが現状だと思います。
 それは,訴えた側が証明をしなければならないのですが,その証明しなければならないことは,いじめの事実,そしていじめによって生じたというPTSDのいじめとの因果関係などです。
 いじめという場合,いじめの各行為が特に録画されていたりして形に残っていないことが通常ですから,その証明方法は記憶を供述することに偏ることが多く,証拠の不足という事態が生じることが多いと思います。
 また,PTSDは,外傷と異なり,外見から傷が見えないため,真にPTSDといってよいのか,その原因の特定はできるのかという点において困難が伴います。
 そういう諸々の論点は,訴える側にとって大きくのしかかることになることとなります。

 一方で,いじめについて,もしもいじめが存在していたとして,学校や教育委員会の取り組みが不足していた場合,司法の場に問題を持ち出すということは,解決のためにとりうる方法としてはある意味やむを得ないだろうと思います。
 通常,訴訟などやりたくてやる人はあまりいないでしょうし,にもかかわらず立証の責任という覚悟を背負ってまで訴訟提起をしたのですから,そこにあるのは本当に解決したいという深刻な思いがあったのかもしれません。

 訴訟を提起したことは,これ以上のいじめを食い止めるという効果や,訴訟の負担を相手方に負わせることによって心理的な圧迫を加えて,早期の和解を実現しようとするなどの効果を期待しているのかも知れません。
 また,自分がいじめを受けているのだと広く知ってもらうことによって,世間に対するいじめという問題に関する意識を高める効果もあるかも知れません。
 ですから,証拠の方法はあくまで供述のみで,訴訟の見通し自体はなかなか厳しいものであったとしても,上記の効果を狙って敢えて訴訟提起という判断を戦略的に行うということもあります。
 それらは私は当事者ではない以上真意は分かりかねますが,仮に立証の労があったとしても訴訟提起自体が無意味であるというようには思いません。

 訴訟提起がなされたばかりで,事実関係も分からないところで,これ以上何か申し上げることは無責任ですが,なるべく当事者が納得する解決になるよう願ってやみません。

 また思いついたら書きます。ではでは。

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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:18
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