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2018.05.30 Wednesday
 こんばんは。


 昨日関東学生アメフト連盟の調査結果が発表されました。
 先週加熱していたことを考えると,今週はマスコミの取り上げ方もだいぶ緩和されてきたように思えます。
 おそらく,問題の当事者に処分が下されて一区切り付いたこと,ずいぶん長く報道され続けてネタが切れてきて,報じる価値が以前よりも減少したことなどが理由として考えられるように思います。
 それにしても,あれだけ報じていたのに,終わる時には急激に熱が冷めていって,先日の山口さんの騒動といい,世の中の盛り上がる話題の賞味期限について考えさせられるものです。
 世間は,想像以上に熱しやすく冷めやすいと思われ,有耶無耶な解決が必ずしも望ましいとはいわないものの,このような世間の傾向は今後のこの手の炎上問題への対策としては一つの手がかりになるのではないかとすら思えました。

 この問題は,事件そのものはある意味どこかの組織でも起こりうる問題であったものの,それが現代の録画機器等の普及により容易に証拠を残せるようになったことが根幹にあったと思います。
 そして,一般社会においてあり得べき結論が設定され,それに向かって行くべきという流れが出来ていたにもかかわらず,流れに逆らうものがいたからこそ,どんどん傷口が広がって,最終的には一定の身分を失うという顛末まで達してしまったというところでしょうか。
 もしも早期に謝罪を尽くす等の対応して火消しができていれば,今回は監督一人が一定期間休業するだけですんだ可能性もあると思われ,真実がどうだったのかは主張が対立している以上はここで言及はしないものの,時流に逆らった結果が今ということなのでしょうか。

 この問題を見て,2つのことを感想として持ちました。

 一つ目は,日大ないし日大アメフト部が,この問題の落としどころをどこに設定していたのかという点です。

 問題が生じた場合,それを最終的にどのような結論にして終わりにするかというのは早い段階で考えなければならないと思います。
 その考えを誤れば,当然対応も間違うことになりますし,問題の長期化,深刻化につながることになると思います。
 今回の日大ないし日大アメフト部は,この点についてどのように考えていたのか,私にはよくわかりません。

 何度も言うように,主張が対立している以上,どちらの言い分が正しいかは私は一切言及しません。
 ですが,ある方向に進まなければ炎上が拡大するというのはおおよその人がわかっていたと思います。
 そのような中,日大ないし日大アメフト部は,その方向に敢えて逆行する主張ないし行動をし続けました。
 それは,自身の主張を貫きたいという信念から出たものなのかはわかりませんが,これだけ炎上してしまった場合,結局主張を貫くか,炎上を止めるか,その二択になると思います。

 主張を貫くならばそれでもいいと思うのですが,そうであれば主張を世間が目にする機会は少ない方がいいと思います。
 なぜならば,その主張は,世間が炎上のきっかけにすることはわかるわけですから,世間に主張を出すとしても,その機会はなるべく少なく絞るべきでしょう。
 にもかかわらず,日大アメフト部ないし日大は,今回,何度も準備不足と思えるような会見に臨み,場当たり的とも言える対応を繰り返して,炎上を拡大させてしまったと思います。

 会見を何度も開催した理由は,おそらく炎上を食い止めるためだと思うのですが,主張を展開することと炎上を回避することは相反する行動であるのですから,会見を開くならば最小限にとどめるべきだったと思います。
 また,開くとしても,せめて批判が少なく済むよう,きちんと場面設定から進行,想定問答まで準備を済ませるべきだったでしょう。
 会見を開催する主導権は日大アメフト部ないし日大側にあったのですから,場面設定をできる権限を行使して,例えば会場を大学ではなく時間制限のあるホテルにすれば会見時間を施設の都合等により短くできた可能性もあったでしょう。
 そういった,自分が有する数少ない権限の使い方まで含めて,炎上回避の観点から見てよくない行動をしてしまったと思えます。

 それも,結局は,主張を貫くかそうでないか,主張を展開することで生じる炎上をどのように鎮火するかということを考え,落としどころの設定を誤ったからと思えます。
 これは日大に限ったことではなく,世の中の問題全般について言えることだろうと思います。

 二つ目は,今回の騒動では何度も記者会見がなされましたが,残念ながら質問する記者のレベルが低いと思った点です。
 そのように思った要素を以下,思いつくままに若干書いてみたいと思います。

 一つ目の要素としては,答えのわかっている質問を繰り返しすることの意味です。
 そのような質問は,立場をはっきりさせるために一度は必要だと思うのですが,それを何度もすることは質問時間を浪費するばかりか,質問者も腹立たしく思ってきます。
 一般的に,同じ質問を何度もされると,前までの話を聞いていなかったのかと腹立たしく思うものですが,それを今回の記者会見では何度もしていました。
 しかも,その質問は,聞くまでもなく答えの内容もわかっていて,ほとんど意味のないものでした。
 記者は,会社や局だけでなく番組も違うため,それぞれの利益の下で同じ質問を繰り返すのだろうと思いますが,会見を見ていた側としては無駄な時間としかいいようがありませんでした。

 二つ目の要素としては,争点を浮き彫りにする質問ができていなかったことです。
 問題プレーをした選手の次に前監督側の会見がなされましたが,そこで最も重要な点は選手と前監督の言い分の間にどの程度の開きがあるかだと思います。
 しかも,選手側の主張は,相当わかりやすく,時系列に沿って説明され,紙にもまとまっていたのですから,前監督への質問はそのまとまった資料に従って,事実関係を一つ一つ確認することで出来るようになると思います。
 しかし,記者の質問を見ている限り,時系列関係なく,自分が聞きたいことばかり聞いていて,結局どの点が問題だったのか,具体的な台詞の一つ一つを比較するなどして争点を浮き彫りにできたかという点も不十分だったと思います。
 これについては,出来ている記者もいましたが,大半の記者はそのような点は意識せず,「どう思ったのか」などという主観的な質問に終始していたと思います。
 当時の認識など主観的な質問は,客観的な事実確認が出来た後になすべきであり,そういった意味で会見全般を通して記者の質問からだけではわかりづらかったという感想を持ちました。
 また,質問も,話が前後してしまっており,その意味でも聞いている側がわかりにくかったと思いました。

 三つ目の要素は,相手に対する敬意があまり感じられなかった点です。
 日大アメフト部ないし日大側の会見は,段取りから舞台設定,進行に至るまで全般的に甘かったと思いました。
 しかし,それは質問する相手を軽視していい理由にはならないと思います。
 今回,日大アメフト部ないし日大側は世間の敵のような扱いを受けることとなりましたが,そのような背景もあってか,記者もある程度ぞんざいな扱いをしてもいいような振る舞いが多々見受けられたと思います。
 また,選手の会見においては,容貌の撮影や一人一問というルールもきちんと守られなかったと思われました。
 この問題は,世間の関心の高い事件だっただけに,その関心を満たすためにはある程度のぞんざいな扱いは致し方ないという発想が根幹にあるのかもしれませんが,それでも見ていて正直言って気分はよくなかったです。
 仮に相手が悪いことをしたとしても,それは相手に対して無礼な対応をしていい理由にはならないと思いますし,まして当事者でもない人達がなぜそこまで彼らを断罪しなければならないのかというようにも思えてしまいます。
 今回のようなパワハラに近い構造があると思われる案件は,社会の至る所にあるように思われ,この事案を契機に世間から根絶したいという願いが報道の意図としてはあるのかもしれません。
 ですが,一方で報道は事実を冷静に伝えて,その評価は社会にゆだねるとした方が健全だったのではというように思えました。

 日大騒動は,これから収束に向かうのでしょうが,今年を思い返せば,相撲,レスリング,山口さんと続いてアメフトが来ましたから,世間の需要を満たすべく別の案件が持ち上がる可能性があるように思えます。
 問題となる事態が少なくなることが一番なのですが,万一巻き込まれることがあった場合にはせめて対応を誤らないよう,初動での計画などをきっちりと考えるべきでしょう。


 また思いついたら書きます。ではでは。


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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:18
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