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 こんばんは。

 今日のニュースを見ていたら,ある交通事故に関するものがありました。

 この事故では,車にはねられてしまった男性が病院に行くのを拒んで救急搬送を拒否したのですが,その約1ヶ月後に自宅で被害者の男性が死亡していたのが発見されたというものでした。
 そして,頭蓋骨とあばら骨が交通事故によって骨折していたことが発覚し,死の原因は頭を強く打ったことによる脳機能障害であり,事故後24時間以内に死亡した可能性が高いとして,交通事故の加害者が自動車運転過失致死の疑いで書類送検されたということでした。

 まずは被害者の男性の死という最悪の結果についてお悔やみ申し上げます。
 この記事だけでは分かりかねますが,もしも事故当時に適切な治療を受けたのであれば命が救えたのかという点を思うと何ともやりきれない思いになります。

 ところで,もしも事故当時に適切な治療を受けていれば救命できたという場合,自動車運転過失致死罪ではなく,自動車運転過失傷害罪に止まるのではないかという点が当然疑問に思われることと思います。そのような場合に,死の結果まで加害者に責任追及するのは酷ではないかというような話が出てくることは十分ありうると思います。
 しかし,刑法学的には,死と交通事故の間に因果関係がある以上,死の結果を加害者に問うことは否定されるものではないので,このような事案でも自動車運転過失致死罪が成立するものと思います。
 ただ,実際に判決で量刑を考慮する上では,今回のように救急搬送を拒否したという事情が斟酌されることになるでしょうから,必ずしも不当な結論
になることはないとは思います。

 この件を見てみると,一般論としては,ひとまず自分が万が一他人に怪我を負わせてしまった場合には,それなりの治療を受けてもらう必要があることを示唆していると思います。
 この件では,被害者の男性が救急搬送を拒否した理由は不明ということですが,外傷も特に見あたらなかったということで,加害者が被害者を自宅まで送り届けて受診するように念を押したまでということでした。
 しかし,どのような事故でも,仮に事故当時に無傷と思ったとしても,目に見えないところに損傷を負っている可能性は十分にあり,医療を受けてもらうことは被害者のためだけでなく加害者のためにも重要であると再認識しました。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:11

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