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 こんばんは。

 今日のニュースを見ていたら,ある国会議員が,元私設秘書から未払いの時間外労働手当を請求されたというものがあったので取り上げてみました。

 この元秘書が請求したのは時間外労働手当として約700万円ということですが,議員は厚生労働委員会の質問でこれについて「払うことはできない。私たち政治家の事務所は残業代をきっちり労働基準法に沿って払えるような大勢かと問題提起したい。」と述べたそうです。
 また,「私は24時間365日仕事をする。そういう中,秘書だけ法に沿って残業代を支払うことはできない。」と述べたそうです。
 さらに,「労基法は現実にあっておらず,見直しが必要だ。議論を換気するために発言した。」とも述べたということでした。

 記事からだけでは,元秘書の請求が全て根拠のあるものか否か分かりませんので,この請求が認められるものなのかどうかについては一切触れるつもりはありません。
 ですが,もしも法的に認められる性質のものであるとした場合,議員のこのような主張が通るかといえばそれは無理でしょう。

 私はこれまで時間外労働手当に関して何度も使用者側の方々から相談を受けており,多くの使用者の方々は上記のような主張をされておりました。
 例えば,
・業務の性質上,法定労働時間以上に働かないと業務が成り立たないので,法律を守っていられない。
・人の手配をうまくできないのに,労働時間まで制限されては困る。
・これまで一丸となってやってきたのに,今さら請求されるのは納得がいかない。
・法律は実体に合っていない。
などなどと,これまで同様の相談を何度も受けてきました。
 しかし,使用者の立場に立てばその気持ちは分かりますが,有効な反論をするに当たってその気持ちをそのまま伝える主張をすることは難しいです。
 法治国家である以上,法律がおかしいと思ったとしても,それを守らなくてよいという理由にならないのは当然であり,それがおかしいと思うのであれば選挙を通じて法律を改正してもらう以外に方法がありません。

 それは国会議員であっても同じことであり,この議員の言い分は心情として理解できなくもないですが,法治国家であるにもかかわらず,立法府の人間が述べていい性質の主張かといえば疑問を感じます。
 労基法が実体に合っていないというお考えを持つこと自体はよいと思いますし,それを改正するべく努力をされることも議員というお立場からすれば本業ですし最もだろうとも思います。
 しかし,法治国家である以上,改正されていない現行の法律に従うべきことは私が言う必要もないことであろうと思います。

 この発言を記事で見ただけの私は,どのような文脈でこの発言が出たのか分かりませんし,もしかしたら私の意見は全くの的外れなのかも知れません。そうだとすれば,ここでお詫びします。
 ただ,私も法律家の端くれとして,法治国家に暮らす者として,法律がおかしいと思ったとしてもこれを守ることの重要性は理解しているつもりです。
 今後本件がどのようなこととなるのかは分かりませんが,法に従った対処がなされることを望むばかりです。

 また思いついたら書きます。ではでは。

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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:19

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