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 こんばんは。


 先日ブルージャイアントという漫画原作のアニメ映画を見に行ったので、その感想を書いてみたいと思います。

 なるべくネタバレがないように述べていきたいと思いますが、どうしても避けたい方は読まないでください。

 ブルージャイアントの作品のあらすじ等は公式に委ねるとしまして、この漫画の特徴は音の聞こえる漫画と圧倒的な熱量だと思います。
 今は第3シリーズが連載中ですが、正直言ってある程度進んでいくと展開がパターン化していることは否めないとは思います。この辺りは宇宙兄弟も同じで、場面と登場人物が違うだけで毎回同じような展開ではと思うことが多いのですが、それでも面白いので毎回読んでしまうというのがこの作品の特徴だと思います。
 野球の投手でいえば、変化球はほとんど持ち合わせておらず、とにかく速くて制球力のある直球を投げ込んでくるという感じでしょうか。
 ただ、時々投げてくる変化球ですが、正直言って私はその変化球はどうかと思うような時もあり(例えば第1シリーズの10巻の展開など)、個人的には直球をど真ん中に繰り返し投げ続けてくれて熱くなる読後感をいただけることがこの作品に求めるものだと思っています。

 今回の映画は第1シリーズをわずか2時間にまとめたということで、随分大きくカットしたという印象がありました。
 ですが、それは当然作品の都合として理解できるところではありましたし、仮に続編が作られないのであればこの作品だけで大衆に訴求しなければならないのですから、今回のトリミングには概ね賛同というように思いました。

 ストーリーについては、概ね原作準拠であり、原作がよいものでしたから、この点についてはいうことはありません。
 この作品では、特に玉田に共感する人が多いのではないでしょうか。ほかの登場人物のように何らかの才能を持っていたりするわけではなく、友達が本気で取り組んでいるから自分も興味を持って始めるものの、他のメンバーとの能力の差に絶望し、そこから努力を重ねて最低限の仕事ができるところまで達したというのは、世の中の多くの人間を占める凡人達にとっては非常に熱くなるものがあるように思います。
 ダイの大冒険でいえばポップのようなキャラだと思いますし、世の中的にはこういったキャラがきちんと成長して活躍できることが最も勇気づけられるのではないかと思ったわけです。
 そんな玉田を見てくれている観客が成長をしっかり理解している様はこの作品屈指の名場面であり、こういう場面を丁寧に描いているところもこの作品の素晴らしいところであろうと思います。

 音楽については想像を超えるものだったと思います。
 こういった音が聞こえる漫画であれば、その期待感は高まるばかりであって、どんなものを提供しても過不足が生じてもおかしくはないと思います。
 私はそこまでジャズに詳しくはないのですが、それでもこれがあの音かと思えましたし、サックスの気合いが強く伝わってきました。
 この作品の主題であるジャズの音楽がとにかく本気で、歌などを一切入れずにサックスとピアノ、ドラムだけで勝負するという自信と強さは私の設定していたハードルを悠々と越えていったという印象でした。
 映画を見終わった後、とりあえずCDを買ったくらい、私の心に強く刻み込まれる音だったということで、この点については大変満足しました。
 音にこだわる作品だと思っていましたから、わざわざドルビーアトモスの劇場に行ってきた甲斐がありました。

 作画については、手書きの部分は満足しましたが、演奏中しばしば切り替わるCGシーンについては正直言ってこれはもっとやれたでしょうと思いました。
 先日スラムダンクの映画を見に行った際、CGでこれだけのことができるのかと感心しましたが、そこでCGの描ける世界を知ってしまっただけに、今回のブルージャイアントのCGシーンはまるでいただけませんでした。
 時間や予算の問題があったのかもしれませんが、この作品は結局下積みと練習を繰り返し、その集大成として演奏をするという作品な訳ですから、その集大成たる演奏シーンをもっと大事にしなければならないはずです。それなのに、CGシーンが出てくるたびに感情が元に戻ってしまい、映画の没入感が途切れました。
 この点は、この作品について明らかにマイナス評価を付けざるを得ない点だろうと思います。

 また、個人的には、最後の展開が原作と異なる点について異論があります。
 上記の通り、続編映画が出るかわからないところではこの映画だけで綺麗にまとめる必要がありますから、そういう意味では最後にこういった展開にした意図はよく理解できます。
 ですが、ライブ前日にあんなことがあったのに、右目と右手以外は問題なく演奏できるというのはさすがにないだろうと思わざるを得ません。つまり、現実的ではなさすぎるのです。
 あの展開自体は個人的にもドラマチックな展開にするためにあのキャラが犠牲になったのかというようにも思われ、この点について思うところがあるのは上記の通りです。
 ですが、そこは原作に準拠しつつも、最後にライブに出てくるのは、やはり現実味がないなと思いました。
 もちろん、展開が変わった部分については、映画館に来た人たちが見たいものを見せてくれたという意味ではありがたく思いますし、2人だけのライブで終わるのは意義があるとはいえショーとしては厳しいものがあるとは思いました。その点において、異論は持ちつつも、感謝はしております。
 とはいえ、あれがあると、割と復帰も早かろうと思ってしまいますし、原作と解釈が変わる部分が多くもなってしまうだろうとも思いました。

 色々と思うところがなくはなかったものの、それでも概ね満足しました。
 特に、最も推すべきジャズについては全く文句なく、注文以上の商品を提供されたという感覚は持ちましたし、今後もCDは聞き続けると思います。
 ですから、色々と意見が出ることは承知で、是非とも多くの人に見に行ってもらいたいと思います。
 そして、この映画が流行れば、第2シリーズも映画化してくれるのではと期待できるので、むしろ皆様には見に行ってもらいたいと思っています。


 また思いついたら書きます。ではでは。


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三枝康裕 | よろずごと | -  | - | 23:39
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