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2020.01.06 Monday
 こんばんは。
 今年はじめての書き込みとなります。本年もよろしくお願いします。

 さて,年末に日本を揺るがせたニュースと言えばゴーンさん逃亡でした。
 このところは,ゴーンさんのことよりもイラン情勢の方が多く取り上げられており,それは至極当然のことでゴーンさんに関するニュースが少なくなったところで,やや時期を逸してこの件を取り上げるのも憚られるところですが,敢えて思ったことを書いてみたいと思います。

 この問題はいくつかの問題があると思います。
 問題点としては,日本のいわゆる人質司法,起訴された事件の有罪率,逃亡したことに関する是非などだと思います。
 これらを分けて考えないと,最終的にゴーンさんが行った逃亡はやむを得なかったなどという結論になってしまうように思いますので,この点を気をつけないといけないだろうと思います。

 第1に,ゴーンさんが問題意識を抱えている人質司法の問題については,私もゴーンさんに同感です。
 否認事件については原則勾留延長が認められるため,約20日間の身柄拘束がなされることが極めて多く,それを回避するためにやってもいないことを自白してしまうという構造が生じてしまいます。
 これまでの刑事訴訟の理念として,冤罪をいかに減らすかということが大きな課題であったにもかかわらず,現在の逮捕後の勾留という制度は冤罪を生み出しやすい構造になってしまっており,これは現在も変更される見込みがありません。
 そればかりか,起訴後も,保釈されない場合は身柄拘束が継続するのですから,やはり誤認逮捕などが生じた場合に受ける苦痛は実質的な刑罰とすら言えるものだと思います。
 この制度を変更するには抜本的な構造改革と捜査機関の証拠収集方法に関する意識の変更を要することから,これまで捜査について積み重ねてきた長い歴史を一から積み直すことにもなりますし,到底容易なこととは思えません。
 また,現在のシステムが真相解明に繋がってきたことなども否定できませんから,悪者とだけ考えるのも良くないのかもしれません。
 ですが,やはり現在の勾留システムについてはやはり好ましくはないように思います。

 なお,ゴーンさんは,保釈条件として妻との連絡が取れなかったことについて不満を持っているような記事も見ました。
 これについては,正直言って私はなんとも言い難いところです。
 というのは,報道に出ているゴーンさんの妻の証拠隠滅活動の疑いがどれだけ正しいのかわからないからです。
 保釈時にもっとも懸念されることは逃亡と証拠隠滅ですが,そのうち証拠隠滅とおそれて裁判所が妻との面会を許さなかったという点に関し,どれだけそのおそれがあるという状況があったのかわからないと,私としてはその是非について述べようもありません。

 第2に,起訴後の事件の有罪率ですが,これについては検察において捜査はしたものの起訴まで至らなかった事件との割合を考えた上でないとフェアではないように思います。
 検察は,刑事裁判に巻き込まれると多大な苦痛が生じることも踏まえて,有罪が見込める事件に絞って起訴をしているという現状がありますので,この有罪率は検察の選別と優秀さを示す指標とも言えるかもしれません。
 ただ,それでも問題のある事件は存在しますが,もしかしたら裁判官はそういった有罪率を前提として検察に対して強く信頼を寄せていて,問題のある事件でも有罪判決を下してしまう傾向があるのではないかと疑ったことは何度かありました。
 また,本件は特捜案件ですが,特捜案件は一般の刑事事件と異なって逮捕された事件はほぼ起訴していますし,そういった意味では他の事件のように選別された上での有罪率というものとはまた毛色が違うような気がしなくもありません。
 そうした中で,ゴーンさんが,日本では起訴された案件でほぼ無罪が難しいと考えて絶望感を受けたことは理解できなくはありません。
 私は,この事件の証拠関係等を具体的に知っているわけではないので,判決の見込み等についてはなんともわかりませんが,ゴーンさんが強い懸念を持っていたことは間違いないのでしょう。

 第3の逃亡の問題ですが,これについてはまったくゴーンさんを擁護する理由はないと思います。
 確かに,ゴーンさんが日本の司法制度によって苦痛を受け,今後もより大きな苦痛を受ける可能性が高いと思い,逃げたいと考える気持ちはあったのだろうとは思います。
 ですが,少なくとも日本の入管制度を欺いて出国したことは違法である可能性が高く,この点においては弁明の余地のない犯罪行為ではないかと思います。
 憲法学において出てくる抵抗権の行使の一環などと主張する可能性もあるのかもしれませんが,本来の抵抗権とはやや色合いが違うように思います。
 また,あくまで報道から出てきた情報によることにはなりますが,自らの資金力を用いて,空港や他国の航空会社等の多くの人間に迷惑をかけて逃亡を図ったとなると,他者を踏み台にして自分だけが助かろうとした極めて利己的な行為だと思いますから,違法行為を犯す理由としても低レベルだと思います。

 そのため,確かに日本の制度について問題があることは私も否定しませんが,それはあくまで制度の問題であって,ゴーンさんを肯定的に評価する事情になり得るものではないと思っています。
 ですから,逃亡したという入管法違反の疑いのある行為については,動機については理解できる部分もなくはないものの,結果は否定的に評価されるべきだと思いますし,そうでなければ法治国家ではないと思います。

 なお,ある記事では,ゴーンさんは,本件について,レバノンの裁判所で裁判を受けようとしているようですが,それこそ日本の主権侵害であり,到底許す類の話ではありません。

 また,ゴーンさんの逃亡について,弁護人が責められていますが,もし私が彼らの立場だった場合に逃亡を食い止められるかと言われれば難しかったように思います。
 いかにゴーンさんクラスの大物だったとしても,弁護人は他の事件も担当している以上は,四六時中ゴーンさんだけを見張ることも現実的ではないですし,逃亡されてしまったことについて責めるのは酷のように思います。

 さらに,この件をもって保釈許可の幅を縮めるという話題も出ていますが,人質司法の問題に向き合った結果として幅が広まってきた経緯を考えると,幅を縮めることは時代に逆行する結果となり,むしろ国民の利益に反すると思います。
 むしろ,これまでの逃亡事案のときも話題になりましたが,逃亡されないような制度づくりをもっと真剣に行うべきだったと思われ,個人的にはその点について国会なのか裁判所の運用なのか,いずれにせよ可及的速やかに行ってもらいたいと強く思うばかりです。


 今日の記事を見ていたら,阪神の藤川さんが,もしも阪神が今年に優勝したら第一線を退く意向を持っていると述べられたそうです。

 これだけの大選手となると,引退時期は自ら適切な時期を選択してほしいとは思いますが,一方で今や阪神の抑えの切り札になっていますから,引退は単純に戦力ダウンになってしまうと思います。
 また,まだ活躍しだす前から藤川さんを見てきた私としては,彼がいなくなると一つの時代が終わったような気がして,たいへん寂しく思うところでもあります。

 ただ,正直言って,阪神が今年優勝するとすれば,外国人助っ人が当たることが前提になるため,現時点では未知数というほかないわけです。
 ですが,このオフはセ・リーグ他球団も戦力ダウンがある程度ありましたし,実際阪神が優勝できる見込みは結構あるような気がしなくもありません。

 毎年この時期は優勝を期して野球を楽しみにするわけですが,藤川さんがこんな発言をしてしまうと,どんな気持ちで野球を見ていいやら困ってしまうものです。


 また思いついたら書きます。ではでは。


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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 22:01

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