こんばんは。
今日,日本野球機構は,2011年に導入した統一球を今季から今までより戸伏用に変更していたことを明らかにしました。
選手会が昨シーズンよりも統一球が飛ぶようになった現状を指摘したところ,日本野球機構より反発係数の下限に近づくよう,微調整をお願いしたと新球に変更したことを認めました。
また,日本野球機構は,統一球製造元のミズノに対して,変更の事実を明かさないように指示していたということでした。
今年のホームラン数を見る限り,かねてからこの話題はたびたび取り上げられていただけで,率直に案の定という感想です。
しかし,私は,この件は実は大きな問題であると思います。
まだ整理ができていないので,取り急ぎ思いついた問題点を以下に書いていきたいと思います。
まず選手側にとっての問題点です。
打者においては,飛ばない統一球になってからバッティングに対する考え方を変更した方が非常に多くいたように思います。
私の個人的な意見としては,ホームランバッターとして期待されていた人の多くが中距離ヒッターにシフトチェンジをし,去年ホームランバッターと呼んでもいいと思えた日本人は西武の中村さんくらいなものではと思っているところでした。
この飛ばない統一球は,多くの打者の人生を変えてしまったものであると思います。
それを,何の連絡もなしに一方的に変更してしまったいいものだろうかというように思うところです。
また,打者の技術面のほか,年俸契約にも大きな影響をもたらすものと思います。
すなわち,飛ばない統一球を前提にした年俸契約上のオプションは,ホームラン数に重きが置かれず,勝利打点などの別の観点が重視されるようになっていたのではないかと思います。
それが実はホームランもそれなりに出るということになれば,契約の前提が食い違ってきてしまうでしょう。
選手はこれで生計を立てているだけに,このような違いは非常に大きな影響を与えるのではないでしょうか。
一方,投手の側からすれば,打者の側の問題意識の逆回し,すなわち何の予告もなしに想定していたよりも球が飛んで打たれるようになるという状況が生じるわけで,これまでと同じ勝手で投げられないということです。
せめて飛ぶようになったと分かっていれば,勝負の仕方も変わっただろうにということもあったでしょうし,この変更は投手側には極めて酷なものだったのではないだろうかというように推測します。
また,契約面でも,打者以上に投手の方が過酷なものになっているのではと予想されます。
勝利数自体は余り変わらないかもしれませんが,防御率,被本塁打数は明らかに変わるでしょうから,これらがオプションの契約になっていたとすれば収入に相当な影響をもたらすことでしょう。
次に,球団側の問題としては,飛ばない統一球か否かで勝負の仕方や戦略が変わってくるのではと思います。
特に,外野手の守備位置は重要な変更点になるのでしょう。
守備位置の変更を考えるに当たってはボールがどの程度飛ぶかという点は極めて重要な問題であり,これを隠匿していたとすれば戦略にかなりの影響を与えたことが予想されます。
また,上記の通り,長距離ヒッターから中距離ヒッターへ変更したり,バッティングフォームもコンパクトを心がけるように変えたりと,飛ばない統一球だからこそ配慮していて選手生命を左右する展開もあったでしょうに,そういったことにも多大なる影響を与えたと思われます。
その他,ファンの側としても,飛ばない統一球でホームランの少ない,動きのない展開の試合かどうかというのは一つの重大な関心事です。
投手戦も悪くはないのですが,飛ばない統一球時代,特に阪神戦では投手戦ばかりで,非常にストレスのたまる試合が多かったように記憶しております。
去年の私のブログの内容もたいてい阪神の貧打を嘆くものばかりだったように思え,それは統一球の責任だけになすりつけるのも難ですが,にしても影響がなかったわけではないでしょう。
日本野球機構が統一球を飛ぶ仕様に変更したのは,WBC対策で導入したにもかかわらず今年実施された大会で実績を上げられなかったことが影響しているのではないかと思います。
私としても,多少飛ぶ仕様のボールを使うことに反対は致しません。
しかし,そうであれば,関係各所に変更の通知をすべきですし,また変更を検討しているのであればそれを開示すべきでしょう。
日本野球機構の職員が野球をするのではなく選手なのですから,少なくとも選手をないがしろにしてボールを変更するやり方はいただけません。
ボールにはご丁寧に「加藤良三」とコミッショナーの名前が全てに入っているのですが,それがこのような物議を醸すボールに刻まれているとすれば,それは名誉ではなくなってしまうのではと思います。
いずれにしても,日本野球機構の誠意ある対応を強く希望します。
また思いついたら書きます。ではでは。
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