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 こんばんは。

 今日は千葉の習志野で,高校2年生が同級生を刺すという事件が発生しました。
 その後,犯人の高校生は自転車で逃走し,最終的に逮捕されたということですが,逃走の際にタクシーを刃物で脅して奪い,側溝に脱輪させてしまったということでした。また,タクシー内の現金約4000円の入った鞄を奪ったということでした。
 刺された被害者は命に別状はないそうですが,左胸を刺されたという報道もあり,命を奪う目的での攻撃と考えられる余地がありそうです。

 犯人の高校生は,ひとまず少年法に基づいて手続が進められ,その後少年院送致等の保護処分となるか,逆送として刑事手続に進むか決められます。
 現在私の知っている情報は報道されているだけの事情なので,これだけではどちらの可能性が高いか何ともいいがたいところです。
 上記の通り,命を奪う目的での攻撃と見なされるならば,殺人未遂の事件として扱われる可能性があり,重い事件となれば逆送の方向に傾く要素となると思います。
 また,今回は刺した犯行のほか,タクシーを脅して奪う強盗,タクシー内に保管してあるお金を奪った窃盗,無免許運転等の別の罪名も多く重ねており,その意味でも犯情はよくないと思います。
 しかし,少年法では,罪の重さのほかに更生可能性やその環境等も考慮されて処分が決められるので,処分については断じがたいと思います。

 このほか,当然民事上の賠償の問題もあると思います。
 まず,刺された少年に対するものとして,治療費,通院交通費,慰謝料,刺された傷によって後遺障害が生じた場合は後遺障害に基づく慰謝料や逸失利益の賠償などが考えられます。
 次に,タクシーを奪った際にタクシー運転手に負わせた精神的苦痛の賠償,タクシーを脱輪させて傷つけたことに関する修理費用,タクシーの修理相当期間の代車代,タクシーから奪った約4000円相当の現金などが考えられます。
 これらをまかなうのは,おそらく犯人の高校生の親御さんということになるでしょうか。
 このような損害に適用されるような保険がなければ,これらの費用を親御さんは自腹で支払わねばならず,多分その負担は相当大きいものになるのではないだろうかと思います。
 法的には親御さんの監督者としての責任の有無が問題となると思われますが,それよりも親御さんがここで支払の態度を見せるかどうかが処分に大いに影響すると思われるので,親御さんがこの責任を逃れるというのは事実上なかなか難しいことと思います。

 その他,今回の事件は学校でのものなので,犯人の高校生に対しては学校からのしかるべき処分が下されることになるでしょう。

 そうなると,この事件がこの少年やその家族に及ぼす影響は計り知れないと思います。
 もちろん,最大の被害者は刺された高校生であり,本当に命の危険がなくてよかったと思います。当然,受けた肉体的精神的苦痛は甚大であったでしょうし,これでよかったなどとは到底言えませんが。
 また,タクシー運転手も恐怖を感じたでしょうし,タクシー会社にしてみれば自分の会社の車を傷つけられて憤慨していることも容易に想像できます。
 ですから,私は加害者側にも事情があるなどとここで軽々にいうつもりはありません。
 しかし,記事によれば,被害者側の生徒が消しゴムのかすを投げたことが原因というようにありますが,仮にそれが真実であったとしてもそれがためにここまで全てを台無しにしてしまうことと釣り合うのだろうかと思うところです。
 私が弁護士として様々な刑事事件を取扱った中で,その行動が負うべき責任と釣り合っていたものなど見たことはないですが,それでも今回の事件を見て改めてそのように思うとともに,自身も気をつけて生活せねばならないと思いました。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:18
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