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 こんばんは。

 今日のニュースを見ていたら,お笑い芸人が高級自転車を盗んだとして逮捕されたというものを見ました。

 記事にある犯行の内容は,他人の自転車を無断でネットオークションに出品し,落札された後に盗んだというものです。
 この事件は,少し前からネット上で結構話題になっていたもので,その件の進展があったのかと思いました。

 本人は犯行を否認しているということなので,この方が犯人であるのかどうかは分かりかねます。
 犯人性については,ネットオークション上で出品していた人のアカウントをこの方が使用していたか,自転車が窃盗された時間のこの人のアリバイなどを手がかりに検討されることになるかと思います。

 さて,否認事件ですから有罪無罪はまだまだ何も分からないところですが,以下はもしも有罪となればという前提で書いてみたいと思います。

 もっとも問題となるのが量刑ですが,有罪となれば実刑の可能性が高いと思います。
 この方の前科関係は分かりかねますが,私の経験上被害額が100万円台に上る場合は,前科がなくても多くの場合で実刑になっているように思われるので,そのように考えました。
 ただ,最近私が手がけた案件の中では,前科のない方で,被害額が数百万円に及んだにもかかわらず,ギリギリで実刑にならなかった方もいたので,必ず実刑というわけではないと思われます。

 実刑を回避する可能性の高い方法は,被害者との間で示談をすることだと思います。
 ただ,否認事件の場合は原則示談はなかなか難しいのが実情です。
 というのは,捕まっている本人が犯行を認めていないのに,被害を弁償するというのは主張と行動に齟齬が生じるからです。
 また,被害者にしてみても,「私はやってないが,とりあえず示談してほしい」という要望に応じる人がどれだけいるのかと考えれば,なかなか難しいことは理解できると思います。

 もし被害者の協力の下に示談をできたとすれば,実刑を回避できる可能性は高いと思います。
 私が過去に見た案件では,1000万円単位の横領をした金融機関の職員の方について示談ができたときに執行猶予判決が下されたので,それを考えれば今回も示談ができれば実刑を回避できる可能性が高いのではと思います。

 しかし,本件での問題の一つは,被害者が9名いるということで,示談の対象者が多いことだと思います。
 すなわち,話をしなければいけない人が多いということは,その分示談が大変になるということです。

 また,もう一つ問題として考えられることは,被害者感情です。
 この事件の被害品は自転車ですが,先日ネットで話題になっていた記事を見る限り,いわゆるレース用の自転車で,かなり高価なものです。
 この手の自転車は数十万円するという値段もさながら,所有者は大変思い入れを持っており,手入れや保管に細心の注意を払っている方ばかりだと思います。
 それを,保管している場所に侵入して奪っていった挙げ句,本来価格に比較して極めて廉価で売却したわけですから,思い入れの強さに比例して受けたぞんざいな扱いに甚大な精神的苦痛を被ったであろうことは想像に難くありません。
 示談をするに当たっては,原則時価額を基準に支払額を考えますが,所有者にしてみれば時価額などでは到底賄えない価値のものを失ったと考えるでしょうから,示談はなかなか困難ではと思います。

 しかし,もしもこの方の有罪の証拠が揃っていた場合,起訴されるまでに示談ができれば,裁判事態も避けられる可能性があります。
 そうなると,まずこの方において決めなければならないことは,否認の方向で行くのか,それとも示談を優先する方向に進むのかということでしょう。
 その上で,示談を優先する方向に進んだ場合は,示談金を準備した上,なるべく早急に被害者全員に話を持ち込むべきだと思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:27

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