こんばんは。
今朝ニュースを見ていたら,JR西日本の執行役員で近畿統括本部の支社長の方が自殺したというものを見ました。
公園のトイレ内で首をつっていたようで,家族に宛てた遺書が数通見つかったということでした。
その背景としては,12月21日にこの方がJR電車内で痴漢をしたとして迷惑防止条例違反で逮捕されたということがあります。
その際,この方は,取り調べに対して「腕や背中が尻に触れたかもしれないが身に覚えがない」という主張をし,容疑を否認しておりました。
その後,一般的には,逮捕後に身柄を拘束して捜査を行うための勾留という手続がなされます。
本件でも,検察が勾留請求を大阪簡裁宛てにしたそうですが,その請求を大阪簡裁が退けました。
そして,さらに検察は,この大阪簡裁の勾留請求を退ける決定を不服として上級審である大阪地裁に準抗告という争う手続の申立をしましたが,ここでも退けられてしまいました。
そうして,逮捕の拘束期間が満了して釈放されて2日後に自殺するという結論になってしまいました。
この件については,まずは自殺された方に対してお悔やみ申し上げます。
もし今回勾留手続によってこの方の身柄が拘束されていれば,先の角田美代子さんの件はあるものの,原則監視の下におかれることになるため,自殺の可能性は低かったかもしれません。
とはいえ,勾留の法律上の要件は,犯罪の嫌疑があること,勾留の理由があること,勾留の必要があることですが,その要件を裁判所がないと判断した以上,その判断を責めるのも違うのかもしれないのかなとも思いました。
このうち,犯罪の嫌疑については一応あるかもしれませんが,勾留の理由としては法律上住居不定,罪証隠滅のおそれ,逃亡のおそれの有無ということになるので,JR支社長という社会的地位と肩書きのある方にこれらのおそれがないという判断になったとしても無理からぬことであると思います。
自殺の可能性の有無というのは,実体的な勾留の判断要素に含まれているかもしれませんが,形式的に法律の要求している要件には含まれていないので,結果としてこのようになったとしても裁判所の判断が不当であったとまでいえるのかは分かりません。
この件がえん罪だったのかどうなのかは分かりませんから,私はその点に関する言及は差し控えたいと思います。
ですが,それが命を引換にしてまでなのかということは,何とも言えません。
ある種の社会的地位のある方だけに,今回の件で思い詰めることは大きかったと思いますが,自殺は大変な決意を要するものであると思いますから,それを前向きな方向に向けて頂ければという気もしなくもありません。
ただ,これはあくまで第三者の見方にすぎず,無責任なことをいいすぎるのもよくないと思いました。
ひとまず,今はこの方のご冥福をお祈り致します。
また思いついたら書きます。ではでは。