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 こんばんは。


 昨日映画スラムダンクが公開されました。

 私は連載中から見ていた世代なので、今回の映画化には大変関心がありました。
 しかし、こうした人気作品は、アニメ化などをした際、自分の中の作品のイメージ等と合致しないと楽しめないということがあります。特に、スラムダンクのように思い入れのある作品について、万一出来がよくなかったら失望感も大きいと思いました。
 そこで、前売り券は敢えて買わず、ある程度の評価がまとまった段階で見に行こうと思っていました。

 それゆえ、公開から1週間は評価の蓄積を待とうと思っていたものの、その日の昼過ぎには何件かの知人からの評価が来ました。
 内容は、一様に、原作を知っているならば一度は見に行くべきというものでした。
 こうなると、もともと原作のファンでありますから、もはや時間をおいて見に行くということを考える必要もないと思い、昨日のレイトショーで見に行きました。

 レイトショーにもかかわらず、私の見に行った映画館は半数の席が埋まっていました。
 土曜の夜だからということもありますが、それでも9時過ぎ開始の作品でこれはなかなか異例ではないかと思いました。
 そして、肝心の感想ですが、結論から言えば面白かった、気になる人は見に行くべきというように思いました。

 これから先は極力ネタバレを避けたいと思うものの、それでも叙述中に若干は作品の内容を推測させるものがあるかもしれません。
 私としては、この作品は極力ネタバレを見ずに見に行くべきものと思っていますから、まだ見ていない方はここから先はあまり見ることをお勧めしません。






 まず、よかった点を挙げるとすると、アニメではやらなかったあの試合をやってくれたことでしょうか。
 この段階でもはやいうことはなく、オープニングで手書きのところからこれが出てきたとき、心の中では「おおっ」と思いました。
 この試合をやると予想はしていたものの、それでもこうして対戦相手として彼らが登場するのはやはり心に来るものがありました。

 その試合について、漫画本でもセリフのなかったあの部分をよくああいう風に描いたと、終盤は圧巻だったと思います。
 この終盤を見るために最後まで見続けていたという面も大きく、ここをこういう風にやったのかと素直に感心し,見入りました。
 私はかなり読み込んでいましたから、一つ一つの場面を見るだけでセリフも再現できますが、それだけに当然展開や顛末もよく知っています。そのため、ある意味安心して見ていられたわけではありますが、それでもこういう風に描いてくれるとなると、連載終了から待っていた甲斐があったと素直に思いました。

 仕上がり自体は、極力漫画絵を動かそうとして努力したように見えました。
 漫画にある心理描写等をほとんど省き、生の試合を見せようとして、各選手の動きに重点を置いた展開は非常に見応えがありました。
 また、試合中の視点も迫力のある部分を追いかけており、どういうように見せるかをよく悩んで作った作品だったのだろうと思いました。

 色々いわれていた声優ですが、正直言って自分はほとんど気になりませんでした。
 それだけ見入るくらいの作品だったと思いますし、この点を気にして見に行かないというのはもったいないと思っています。

 いい部分を色々と挙げましたが、正直言ってこれから挙げる自分の中で思う部分を考えても、それでもなおこの作品は相当な評価をすべきと思っています。
 ただ、それでも思う部分を挙げるべきと思って、以下書いてみます。

 まず、映画という限られた時間の描写である以上、漫画から省く部分が生じるのは致し方ないと思うものの、個人的にここを省いてはダメだろうと思う部分もなかったことは気になりました。
 赤木関連については、あの場面は現実味はないとはいえ、あれが転換点なはずなのにそこを削ると、後半にどうやってつなげるのかと思ったりしました。

 次に、上記の通り心理描写をほとんど省いてしまっているため、生の試合を見ているような感覚は得られるものの、一方で淡泊さも感じました。
 特に、試合前半はすっと終わってしまったように思いましたから、例のスッポンディフェンスは出ていたものの、もう少しその描写がないとなぜ後半あそこまで消耗したのか説明しづらいのではと思いました。
 また、心理描写をすることは説明をすることにもつながると思いますが、心理描写がないとなると初見の人は理解がしづらい場面もあったのではというようにも思いました。
 この点は生の試合感をとるかどうかの問題でしょうが、見に来る人の大半は原作を履修済みでしょうから、生の試合感を優先したという選択を個人的には評価したいところです。

 第3に、これがもっとも自分の中で問題なのですが、あるキャラを主人公にし、そのキャラの過去話を掘り下げ、途中途中で回想シーンが入るのですが、これは果たして必要だったのかと思いました。
 というのは、映画という限られた時間内で過去話が出るときは、通常はその過去の何かが現在の試合での技などにリンクして、こういうことがあったからこうなったのかというようになるものだと思うのですが、それがほとんどなかったからです。
 そのため、過去話はあまり試合展開や物語の展開に関連しないように思われ、なぜそこでこの描写が入ったのかと思いました。
 むしろ、生の試合感、臨場感のある展開の中で、回想シーンが間に入り、テンポが悪くなってしまったのではと感じる部分が多く見受けられました。
 生の試合感を優先するならば、いっそ40分の試合をよりリアルに描いてもらえた方がありがたかったように思うのですが、これは個人的な感想の域を出ないものでもあります。

 第4に、キャラの掘り下げについて、主人公キャラ以外が少ないように見えることです。
 あるキャラは語尾に特徴があるのですが、その語尾が作品中で使われる回数が多くなく、作品を知らない人は特殊な語尾について気づいたりするものだろうかと思いました。
 その語尾をあるキャラがまねをする部分があるのですが、これも文字で読まないとわからないだろうなと思いました。
 限られた時間内で掘り下げができるのは限界があるものの、それでも終わった後は流川の扱いが小さかったなという印象でした。

 まだ色々と思う点はあるのですが、それを考慮しても、なおあの試合をあの動きと演出でやってくれたということだけで私は見る価値があると思っています。
 私としては、総じて待った甲斐があったと思えた作品であり、スラムダンクを読んだことのある人であればなるべく多くの方が見に行ってほしいと思える出来だったと思います。
 内容を見る限り、続編は難しかろうとは思いますが、仮にこれが最後の作品であったとしても、この試合を動く絵で見られたのであれば、それ以上に何を言うことがあろうかと思うのです。
 とにかく、結論としては私は大いに楽しめたということを述べたいと思います。


 また思いついたら書きます。ではでは。


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三枝康裕 | よろずごと | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:08

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