Powered 

by Tigers-net.com
 こんばんは。

 先日発生した,大変痛ましい中学校一年生の殺害事件について,私もここで何度か取り上げようと思いましたが,少年事件という性質や事実関係が流動的であることから,敢えてあまりこれに触れないようにしてきました。
 ただ,被疑者が逮捕され,その供述や周囲の話などがいろいろと出てきて,動かない話がそれなりに固まってきたことから,流動的ではない部分についてのみ少々触れたいと思います。

 本件では,現在共犯とされている人たちの供述はそれぞれ違っているところがあるようで,事件そのものの状況は未だよく分かりませんが,事件に至る経緯はおおよそ見えてきました。
 その中で,注目すべき点は,事件発生の約1週間前の警察の関与についてです。

 事件発生の約1週間前,被害少年の知人グループが,被害少年への暴行に抗議するため,被疑少年宅に押しかけてトラブルになったことがあったそうです。
 その際,110番で駆けつけた警察官が,暴行を受けていた被害少年からの聞き取りを電話で済ませてしまったということがあったようです。
 その電話の際,被害少年は「仲直りしたから大丈夫」と答えたため,警察官がグループに帰るように指導してその場を収めたということでした。

 被害少年の友人によれば,被害少年は被疑少年のことを相当恐れていたそうです。
 そうすると,被害少年の立場からすれば,被疑少年がそばにいる状況で,被疑少年のことを悪くいえるかといえば,それは非常に難しかったと思います。

 本件を防ぐきっかけは数多くあったと思いますし,警察の対応の問題はその中の一つに過ぎないことは分かっています。
 しかし,本件で出てくる登場人物がみな通常なすべき対応を行っていれば本件は発生しなかったのではと思いますので,その点については非常に辛いものがあります。

 警察は様々な事件を取り扱っていますし,110番を受けて駆けつけた時点では本件はよくある不良少年同士のもみ合いくらいの程度に認識したのかも知れません。
 ですが,おそらく警察官はその場で被害少年が暴行を受けたということは少なくとも聞いていたはずですから,面会して話を直接聞くなどしてその程度を確認するくらいはしてもよかったのではと思います。
 被害少年の顔写真は気の毒なくらい何度も目にしますが(被害少年の遺族の権利などはどうなのかと,写真を見る度に思います。),そこで目にする顔の傷を見れば警察はおそらく尋常ならざる事件であることに直ちに気づいたと思いますし,そこが怠られなかったらと思います。

 これが不祥事というレベルに達しているのかどうかは何ともいいがたいですが,私としては警察がやるべきことをしていてくれたらと非常に残念に思う次第です。

 ちなみに,もう一つ思ったこととしては,この事件の関係者がいろいろとコメントをしすぎて問題をより深くしてしまっているように思います。

 このような重大事件においては,マスコミはいろいろな人たちから話を聞いて,一般的に関心が持たれそうな事柄については記事にしようとするものです。
 そして,本件は関係者が非常に多いですから,そのためいろいろな人に取材をしていて,それがたびたび記事に載るのを目にします。
 その中には,誰かの身内だったりして,自分の記憶以上に手心を加えたようなことを述べて擁護しようという人もいたように思います。
 また,一見すると事件に関係がありそうな立場と紹介されつつ,第三者的視点からコメントをしているという人もいたように思います。

 ですが,このように刻一刻と状況が変化する中で,その人が発言したことが事実関係等と矛盾した時,その人が嘘つき呼ばわりされて,より強い非難を受けたりすることをまま目にします。
 特に,本件は非常に社会的注目度が高く,その一挙手一投足が注目をされておりますから,事実関係等と矛盾する事柄が出てくれば当然その非難の程度も高まるように思います。

 そのようなコメントの真偽や動機は私には分かりませんので,ここで詳細を述べるつもりはありません。
 しかし,自分の発言の一つ一つが非常に大きく取り上げられるということをもう少し意識した上で言動をされた方がいらぬ騒動を引き起こさずにすんだのではと思うところをしばしば見ていたので,敢えてその点だけ触れてみました。

 真相究明にはまだ時間がかかりそうですが,故人が安らかに眠れるようみなが協力をして真相究明,再発防止に努めるという方向に進んでくれるよう願ってやみません。

 また思いついたら書きます。ではでは。

↓もしよろしければ押して頂けるとありがたいです。
弁護士 ブログランキングへ
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:37
PAGE TOP