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 こんばんは。

 当事務所は今日から休みだったのですが,雑務処理のために今年最後の出勤をしました。
 大半の企業は今日が仕事納めのところが多いと思うので,そのような方々は1年本当にお疲れ様でした。

 さて,今日取り上げたいのは,先日起こった痛ましいストーカーが女性の親族を殺害したという事件についてです。
 今朝の報道では,お父様と女性の方が習志野署を訪れたものの,被害届の提出を1週間待ってほしいと言われ,その間も加害者がストーカー行為をやめることなく本件が発生してしまったとのことでした。

 私も仕事上警察に被害届や告訴状を受理もらいたいと交渉に行くことはままありますが,一般的に警察はこれらを受理したがりません。
 その理由として考えられる最たるものとしては,持ってこられた告訴状等を全て受理していたとすれば,本当は事件でも何でもない単なる何かに対する苦情レベルのものに警察が労力をさかねばならないので,これを防ぐためなのではないかと思います。
 確かに,近年はたいしたことでもないのに平気で110番をする人が増えているとも聞きますし,そのようなものを排除するために一定程度事実確認ができない場合は警察は被害届や告訴状を受理することを控えるのは妥当な対応であると思います。
 また,日本という国では,逮捕されたという事情が知れ渡れば,その後の裁判がどうあれそれだけで就職等がしづらくなる国ですから,その意味では警察の動きは謙抑的であるべきとも言うことはできると思います。
 しかし,犯罪事実が明らかであるにもかかわらずこれに対応しないというのは怠慢にほかならないでしょう。
 犯罪事実が明らかにもかかわらず告訴状を受理ないとすれば,それは単に「自分の処理すべき事件が増えて面倒だから」というようにしか見えません。

 私が以前経験した事件でも,その全てにおいてとにかく警察は告訴状を受理したがらないため,苦労したことは何度もあります。
 私が警察に告訴状を持ち込む場合はそれなりに犯罪事実が確認できるだけの資料を揃えて持っていくのですが,それでも彼らは受理したがらないのです。
 被害届,告訴状というのは,捜査機関に捜査のきっかけを与えることが第一の目的ですから,犯罪事実のようなものが伺われれば確実に犯罪に当たらなくても本来は受理すべきものです。
 また,告訴状については,その受理義務というのが犯罪捜査規範63条にも定められており,犯罪事実が全くあり得ないようなものでなければ受理しなければならないはずです。
 さらに,被害届や告訴状は,受理したからと言って直ちに逮捕などをしなければならないわけではなく,単に捜査の端緒であり捜査資料の一つなわけですから,受理即逮捕というくらいまで神経質に捉えるべきものではないと思います。

 私も警察の立場になれば,上記のとおり持ち込まれた全ての案件を処理しなければならないというのは現実的ではないと思います。
 しかし,犯罪事実が明らかなのに何も受理しない,動かないとなれば,警察は下に見られてしまって治安の問題が生じかねません。
 特に,今回の事件では,警察は,加害者を一度は任意同行しており,犯罪を起こしそうな人物であることを把握していました。そして,その後に警察は被害届の提出を待ってほしいと言いましたが,その時も加害者はなりを潜める様子はなかったようですし,即逮捕という動きまで見せないにしてもこの受理を待つ理由はなかったと思います。
 警察の方々の日々のご苦労に対しては最敬礼を致しますが,何かがあってからでは遅いということをもう一度よくお考えになって頂きたいと思います。
 そして,これと同時に,警察が持ち込まれる案件がたいしたことがないという偏見を抱かせないよう,「ゴキブリが出た」「出前が遅い」などの犯罪とはおよそ関係のないことで警察を頼るのはやめるべきだと思います。オオカミ少年ではないですが,そのようなことを続ければ,警察は本当に困ったときに協力してくれなくなってしまうでしょう。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 18:58
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