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 こんばんは。

 最近のニュースを見ていたら,視力向上手術として有名なレーシック手術に関するものがあったので取り上げてみました。

 この記事によれば,消費者庁がレーシック手術に関して,術後に光がにじむようになるなどの被害が相次いでいるとして注意を呼びかけたということでした。
 消費者庁には,レーシック手術で目に何らかの被害を受けたという報告が,4年半ほどの間に全国から80件寄せられたということでした。
 最も多かったものは,視力が矯正されすぎて遠視になったというもので,そのほかに目に激しい痛みを感じたり,1時間に数回目薬を差すようになったということなどがあったそうです。
 そして,消費者庁が手術を受けた600人を対象にアンケートを採ったところ,4割あまりの人が手術後に光がにじんだ,暗いところでものが見えにくくなった等の不具合を訴えたということでした。
 この背景として,手術後に起きうる後遺症について医療機関があらかじめ十分な説明をしていないことがあるとみて,消費者庁はレーシック手術を受ける際にはしっかりと説明を受けるように呼びかけているということでした。

 私もレーシック手術に関する問題は何度か相談を受けたことがあるのですが,レーシック手術の結果発生したいわゆるハロ・グレア現象によって困惑しているというものが多い印象でした。
 私の調べたところでは,この現象は通常数ヶ月以内に改善されるということだったと思いますが,それを知らない人としては当然レーシック手術の失敗なのでは思うことでしょう。
 ですから,ハロ・グレア現象に関していえば,消費者庁のいう手術自体の問題というよりも説明の問題であるという考え方自体は間違っていないように思います。
 しかし,視力の矯正されすぎなどの問題は手術自体の失敗である可能性もあり,この点は説明という論点と少々異なるように思います。

 私は,消費者庁の注意喚起を見ても,6割に不具合がないとなればやはりレーシック手術は有用な手術なのだと思いますし,きちんとなされればその効果は大きいのだと思います。
 しかし,以前レーシック手術をした眼科の衛生面が問題となって被害者が多く生じたという問題があって以降,社会的にも広くこの手術の問題が認知されるようになったと思います。
 また,ネット上でよく言われるレーシック難民が多く発生していることを考えても,この手術に関して不安はまだまだ多いように思います。

 どのような手術でも一定の失敗というのはあるもので,それがやむを得ず避けられないものであれば医師を責めるわけにもいかないのかと思いますし,責めすぎれば医療が萎縮してしまってなすべき発展が遂げられないと思います。
 私は,医療過誤訴訟で病院側の立場で訴訟に臨んだことがあるのですが,その際には訴訟が医療の発展を妨げる可能性についてよくよく考えさせられたことがありました。
 しかし,今回アンケートで出てきた4割の不具合の内訳は分かりませんが,もしもそれが注意することで避けられるものであれば,それは当然責任を問われるべきものであると思います。
 特に,手術というのは人体に傷を付けて行い,その後人体に影響の出るものである以上,慎重になされるべきだと思います。
 手技の失敗となれば賠償請求の対象になるでしょうが,それだけでなく説明すべきことをしなかったために発生した損害も説明義務違反として賠償請求の対象となりますから,この点も軽く見ることはできないと思います。

 最近は,医療過誤訴訟の数の増大のために,大きな病院では手術等に関してフォーマットを用いて説明をなし同意書を作成するということが多くなっているように思います。
 それが正しい姿勢かどうかは別にしても,医療関係者の間にも説明義務は意識されているのだろうと思われます。
 レーシック手術での不具合報告の数を見る限り,少なくともその点が今後このレーシック手術の分野でも浸透していけばと思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 22:50

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