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 こんばんは。

 今日は,以前から大変問題になっていた,JR東海が認知症家族を訴えた事件に関する最高裁判決が下されました。

 事件の内容等はニュースで多く報じられているので,ここでは割愛するとして,結局のところ結論をまとめれば

・認知症の人と同居する配偶者だからといって直ちに監督責任があるというわけではない。
・監督責任者に当たるかどうかは,諸般の事情を総合考慮して判断すべきである。
・妻は,事故当時の年齢や健康状態から監督が現実に可能な状況とはいえず,監督責任者に当たらない。
・長男は,20年以上別居しており,事故直前も1ヶ月に3回程度の訪問という程度であるから,監督可能な状況にあったとはいえず,その他監督を引き受けていたと見るべき特段の事情がないから,監督責任者に当たらない。

ということでした。

 この結論をどう考えるかという問題も重要ですが,私の仕事を考えると,この最高裁判決の射程範囲がどのようなものなのか,別の事案にどのような影響を及ぼすのかということが非常に重要になってくると思います。

 この最高裁判決は,賠償責任を負いうる監督義務者の範囲についてその基準を示しております。
 その基準というのは,

 ,修亮埃身の生活状況や心身の状況など
◆\鎖西祿下圓箸凌涜牡愀犬陵無・濃淡,同居の有無その他の日常的な接触の程度
 精神障害者の財産管理への関与の状況などその者と精神障害者との関わりの実情
ぁ\鎖西祿下圓凌歓箸両況や日常生活における問題行動の有無・内容,これらに対応して行われている監護や介護の実態など

の諸般の事情を総合考慮するということでした。
 そして,その事情を考慮した上で,現に監督してるか,監督が可能かつ容易であるか等の衡平の見地からその者に対し精神障害者の行為に係る責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるか否かという観点から判断するということです。

 こうしてみてみると,結局この基準は,いろいろな事情をくみ取ってくれるということはわかるものの,一方でこの程度の行為を行えば責任を免れられるという明確な線引きをすることが難しいものであるということもいえます。
 最高裁判決が示す総合考慮の基準はこのようなものが多いですが,これは様々な事案に対応するため致し方ないことであると思います。
 ただ,結局個別具体的な事案において自分が免責されるかどうかということは,結局このような事案の累積を待ち,類似事案でどのようなものがあるのかというように考えるしかないでしょう。

 とはいえ,この判決が意味することは,少なくとも,配偶者というだけで責任を負うとは限らず,状況や実態によっては責任を免れる可能性があるということだと思います。
 一定の基準を挙げて免責の余地を認めたという意味では意義ある判決だったと思います。
 それは,例えば,弁護士などが成年後見人に就任する際,成年被後見人が問題を起こしてしまった際にもこの基準を用いて免責される余地があるというように考えることもできると思うので,やはり実務上は意義が大きいといえます。

 一方,この判決は,監督する家族等にとっては救われる内容である一方,被害者側にとっては問題とも考えられるかもしれません。
 例えば,認知症の方が知らないうちに自宅の車を運転して事故を起こした,被害者に落ち度は一切ない,任意保険に加入していないという場合,果たして事故の被害者はどうやって救済されるのでしょうか。
 この事案では,被害者側であるJR東海には経済的損害は発生したものの,人の生命身体に関する損害は認知症の方のみでした。ですから,一つのものの見方として,大企業と個人のどちらに損害を負担させるのが妥当かという価値判断がこの判決の背景にあるのかもしれません。
 ですが,これが個人対個人ということになれば,被害者側が救済されないという結論をどこまで許容できるのかという問題はあるだろうと思います。
 その意味では,この判決は,この事案のように大企業対個人という構図の中でのみとらえるのは問題で,結局今後被害者救済をどのようにして図るべきなのかということもあわせて考えなければならないのではないかと思います。

 また,この判決の基準は主に個人的な関係を想定しているものですが,認知症の方が多く入居している施設の場合,どのような基準が当てはまるのかということについては分かりません。
 施設の責任問題を考えるにおいても,今回の最高裁の基準は一つの指標になると思いますが,必ずしもすべてが当てはまるということでもないので,その点に関して対策は検討されるべきだろうと思います。

 と,思いついたことを色々と述べてみましたが,今日出たばかりの判決なのでまだ分析が足りていません。
 仕事の役に立てるべく,もう少しきちんと考えていってみたいと思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。

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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:46

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