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 こんばんは。


 今日のニュースを見ていたら、町が水道料金の滞納をしていた住民に対して14年分の請求訴訟を起こし勝訴したというものがあったので、取り上げてみました。

 住民の男性は、14年分の水道料金を滞納していたということですが、町は滞納分と延滞金併せて約607万円を求めて訴訟提起したということでした。
 提訴時の水道料金の消滅時効は2年だったものの、男性は消滅時効を援用する主張を行わなかったため、裁判所は時効を適用せずに、町の主張を認めて勝訴判決を下し、これが確定したということでした。
 その後、町は、その回収のため、男性の自宅とその敷地一帯の強制競売手続を申し立て、その開始が決定されたということでした。

 まず、消滅時効制度ですが、これは時効によって利益を受ける者が、時効援用という時効の効果を享受する意思表示を行わなければ効果が発動しないこととなっています。
 そのため、男性が時効援用の主張を行わなかったのであれば、時効の効果は発生しないこととなります。

 それでは、裁判所がこの時効制度について男性に教えるべきかといえば、私は決して教えるべきではないと思っています。
 その理由としては、裁判所は憲法で定められているとおり公平な機関でなければならず、それは当事者の力関係が等しくなかったり、当事者本人訴訟であったとしても貫かれるべきであると考えるからです。
 もしも本人訴訟であって裁判所が手助けしないと気の毒な場合に裁判所が手助けできるなどとなっていれば、そもそも公平さを欠くことになり、対立当事者の立場になってみればそのような裁判所に判断してもらいたくないと考えることは当然です。
 野球などでも、審判が相手チームに偏った判断をする場合に許しがたいと考えるのと同じく、裁判所も公平であるべきであり、一方当事者に有利な主張等を促す釈明はあってはならないことだと思っています。

 また、町側が男性に対して時効制度の存在を教えるべきかということですが、これについて私は町側が教えなかったのはやむを得ないというように思いました。
 確かに、地方自治の目的は住民の福祉と増進であり、この請求が認められることで一人の住民が困窮状態に陥ることとなるのであれば、この目的に反する形になるのだろうと思います。
 ですが、ここでいう住民には、当該男性が含まれるのは当然のことではあるものの、それ以外には普通に水道料金や税金を納めている住民も含まれます。
 男性は、少なくとも水道料金の滞納はあったことを考えると、この男性に対して時効制度を教える特別扱いをすることは、男性を救う一方で、町の財源を減少させることになり、他の住民の利益を害することとなってしまうと思います。
 この問題は、誰かを救う代わりに誰かを救わないという問題になるのだと思われ、結局時効制度について教えるかどうかは誰を救うべきか、誰を救わないべきかということに他ならないと思うのです。
 そして、その判断を町の当局が行うことは難しく、最終的に一方当事者である男性自身が気づくかどうかということに任せたのだろうと思われ、そう考えると町の判断は責めてよいものかというようにも思うのです。
 よって、男性には極めて酷な結果となったものの、町側の判断が誤っているのかと言われればそういうには憚りがあると思います。

 その後の競売手続に至った事情についてはよくわかりませんが、判決後に町側と男性の話し合いが頓挫してしまったのでしょうか。
 男性にとって住処を奪われることは酷であり、そこに至る過程については慎重にしてほしいという思いはありますが、競売手続に至る具体的な過程がわからない以上、このことについてなんとも言いがたいところです。

 個人的な感想としては、これまで私が相談を受けたりした中でも、それなりに名の知れた相手の金銭請求でも消滅時効の援用によって大きく減額できたケースもそれなりにあったものですから、少なくとも誰かに相談だけでもしてほしいというように思いました。


 先日、今年の夏の甲子園大会の中止が発表されましたが、今日のニュースでは、阪神と甲子園球場が、高校野球部員3年生全員に、甲子園の土が入ったキーホルダーを贈ると発表しました。

 これについては、私はいいことだと思いました。
 これをもらったからと言って、今年の夏に野球ができなかった無念さが変わるわけではありませんが、それでもこうした象徴のものが手元にあることは、何もないよりはこういう特殊な経験をしたという記憶に残ることになると思うからです。
 このような経験を記憶に残したくない人や、ある意味敗者が手にする甲子園の土を配られること自体許しがたいと思う人もいるのだろうと思います。それでも、そういう人は廃棄すればよくて、ほしい人は手元に残せる、そういった選択肢があることは単純によいことだと思うのです。

 ただ、毎年甲子園の土を持ち帰る人を見ていて、甲子園の土の定義について気になります。
 どこかから土を持ってきて、それを一度甲子園に蒔き、それを回収すれば甲子園の土になるのでしょうか。
 それはどこかの土とどれだけの違いがあるのかと、毎年甲子園中継を見ているとそんな風に思うこともあるのですが、そんなことを考えるのは野暮なのでしょう。
 甲子園球場が甲子園の土だと公式発表したのであれば、それは甲子園の土なのだと思うべきなのだろうと思いました。



 また思いついたら書きます。ではでは。


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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 22:27

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