Powered 

by Tigers-net.com
2012.07.05 Thursday
 こんばんは。

 昨年10月,滋賀県大津市での中学2年生の生徒がいじめを原因として飛び降り自殺をしたとされる事件について,最近色々な話が明るみになってきました。

 まず,ある記事によれば,このいじめの内容がかなり凄惨なないようだったということです。
 例えば,雀や蜂の死骸を食べさせられる,自殺の練習をさせられるなどという,悪ふざけの領域を越えている行為が多く見られたというようです。
 中学2年生ですから,14歳以下であれば刑事法が適用されませんが,刑法の領域でいえば暴行罪,傷害罪,自殺幇助罪などの成立が検討されるべきところでしょう。
 ただし,これらの行為をしたということが認められれば,児童相談所に通報され,少年法に従った手続に係る可能性は十分にある程度のものであると思います。

 いい年した大人でもそうですが,中学生などは特に悪ふざけに歯止めがかからなくなってエスカレートするということはよく見受けられると思います。
 しかし,そのようなことがないようにするために教師が歯止めを利かせるべきところであると思います。
 もちろん,教師が全てに介入してしまうことは別の問題を引き起こすことも想定されるところですが,上記のように少年法の適用の問題にかかるくらいの状況となれば,当然介入すべき注意義務があると思います。
 しかし,この事件では,教師は一度注意したものの,その後は一緒になって笑っていたなどという話があります。また,この生徒が泣きながら電話で教師に電話で訴えたものの,あまり対応してくれなかったという話もあります。
 これらが真実であれば,教師は明らかに注意義務に違反しているものと思われます。
 ただし,教師のような公務員の賠償責任については,原則として公務員個人の責任にはならず,管轄する役所の責任となるので,この注意義務違反が認められれば大津市の負う賠償責任ということになると思います。

 さらに,生徒の父親は,自殺後に3回にわたって大津警察署に被害届の提出にいったということですが,大津警察署では犯罪として事実認定ができない」として受理をしなかったということがあったそうです。
 以前,このブログで,警察は告訴状を受理したがらないということを書いたことがありますが,被害届については告訴状ほどではないものの同様の傾向があるように思えます。
 確かに,少年事件の場合,何らの嫌疑もない状況の下で警察が介入して子供に事情を聞きにいってしまったりすると,子供の養育にある種の影響を与えることは否定できないと思います。また,警察の業務の苛烈さを考えれば,何でもかんでも被害届を受理しろというのも現実的でないことはよくわかります。
 しかし,被害届というのは,「こういう犯罪が発生している可能性がある」ということを捜査機関に教えて,捜査の開始のきっかけを与えることが役割なのです。
 そうすると,警察が被害届を受理した上で捜査をしてから犯罪の事実認定をするのであって,被害者が持ち込んだ証拠をもって「犯罪の事実認定ができない」として被害届を受理しないというのは理由になっていません。
 まして,今回は人が一人亡くなっているのですから,直接の死因が自殺であったとしても,その背景について捜査をしてもよかったのではないかと思います。
 少年事件ということに関する配慮については,子供達に話を聞きに行ったりするのを他の証拠を洗った上で嫌疑があった場合とすればよいだけの話なので,少年事件だから被害届受理のハードルを上げる必要もないと思います。
 ですから,本当のところ警察がどのような対応をしたかは記事だけでは分かりかねますが,もしこの記事が真実であるならば,警察はせめて被害届を受理してから犯罪事実の認定について考えてほしかったと思いました。

 他にも,教育委員会の調査が不十分であるのではないかなどという問題点もあったり,本件は色々なことが問題になっております。
 このようなことを見るにつけ,一つの問題というのは様々な要因があって起こりうるものなのだと改めて思わされました。
 今後はせめて今回起こった問題点を教訓に,今後二度とこのような問題が再発しないように考えることが使命だと思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 19:42
PAGE TOP