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 こんばんは。

 先日の京都亀岡の痛ましい事故について,最近危険運転致死罪の適用はないのか,自動車運転過失傷害罪が適用されて懲役7年が上限なのだろうかなどという話が色々と持ち上がっているので,これらの点について私なりに整理してみました。

 まず,危険運転致死罪が適用される場合を確認したいのですが,刑法208条の2第1項は
.▲襯魁璽襪泙燭鰐物の影響によって正常な運転が困難な状態で四輪以上の車を運転した場合
⊃聞圓鮴御することが困難な高速度で四輪以上の車を運転した場合
進行を制御する技能を有しないで四輪以上の車を運転した場合
に適用するとしております。
 刑事罰を定めた規定については,類推適用,つまり規定の趣旨から遡って類似の事案へ適用することは認められていないので,上記の3パターンの解釈に当たるかどうかの問題ということになります。

 まず,報道等を見る限りでは,どうも,牢愀犬覆い茲Δ任后
 次に,報道等では制限速度を10キロメートル毎時程度オーバーしていたようですが,これでは△謀たるというものなかなか難しいと思います。
 というのは,大変残念ながら,通常の道路でも制限速度10キロメートル毎時程度の超過はよく見られますが,これで進行制御能力を失った車両はほとんど見受けられることがないからです。法律の規定はあくまで「進行を制御することが困難な『高速度』」となっている以上,相当程度のレベルのものを要求していると見るべきですから,ここに当たるという考え方は難しいでしょう。

 では,はどうでしょうか。
 少年は免許を持っていなかったようですが,ここでいう「進行を制御する技能を有しない」というのは車を運転できる能力の問題ですから,免許がなくても必ずしもこれに当たるとはいえません。逆に,いわゆるペーパードライバーの方でも,その技能に疑問があればこれに当たるといわれるものなので,免許の有無は一つの参考事情と捉えるべきでしょう。
 そして,少年はネット上に「趣味 ドライブ」と書き,この日の前日から交替でずっと運転をしていたくらいですから,そこそこの技能はあったのかもしれません。
 ただし,法律上は「技能を持たない」と書いてあるものですから,文理上はその技能レベルに達しないで運転していた場合もこれに当たると考えられるかもしれません。
 つまり,本件は一晩中運転した末での居眠りの事故ということですが,自らを寝不足状態に陥れることによって,事故当時眠気に起因する判断力不足によって要求される運転技能レベルに達しない状態だったと評価できる場合はこれに当たるかもしれません。
 ですが,法律はを未熟運転の類型として考えていますから,根本的に運転能力のない方のみを対象にしているとも思われます。そうすると,文理からはに当たるように見えても,法律の趣旨も混ぜて考えれば当たらないということもあるかもしれません。

 仮にに当たるとしても,危険運転致死罪の成立にはもう一つのハードルがあります。
 それは,同罪の成立のためには「自己が進行を制御する技能を有しないこと」を認識した上で起こした事故であることが必要です。これは,危険運転致死罪が過失犯ではなく故意犯であるということによるものです。
 本件では,仮に寝不足状態で運転技能が足りないと評価されるとするならば,要求される認識は「自分が居眠りによって事故を起こすこと」の認識ということになるのでしょうか。
 ここまでの認識を少年本人が持たなかったとしても,判例上は「一般人であればそのような認識を持つ程度に事実を認識していれば」この要件をみたすことになります。

 よって,これらのハードルをクリアして初めて危険運転致死罪が成立するということになります。
 私としては,成立する可能性はあると思いますが,やはりなかなか難しいのではないかと思います。
 そして,この犯罪が成立するためには,これらをみたすことを検察が証拠をもって証明しなければなりません。
 確かに素朴な被害感情やいわゆる一般常識という点からすれば「これらをみたすではないか」という気もしなくはないのですが,訴訟における証明というとそれだけでは済まないので,後は警察,検察の証拠収集等によるということになるでしょう。

 では,危険運転致死罪が成立しない場合,自動車運転過失致死罪が成立することになりますが,その場合の刑の幅はどうなるでしょうか。
 自動車運転過失致死罪を見てみると,刑法211条第2項には「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」となっています。
 この条文はいわゆる罰金併科になっていないので,懲役・禁錮刑か罰金刑かのいずれかのみが科せられることとなり,「懲役+罰金」という判決はあり得ません。
 そうすると,この条文が適用される場合は原則は7年が上限ということになるでしょう。

 ただし,日本の法律には併合罪というものがあります。これは,確定判決を得ていない2つ以上の罪があるなどの場合には,その2つの罪を比較して重い罪の上限を1.5倍まで加重できるというものです。
 そして,少年は,事故直前まで無免許運転をしていましたが,この無免許運転は交通事故と別に道路交通法違反が成立します。また,ネット上でも「趣味 ドライブ」と記載していたように,日常的に無免許運転をしていた可能性があり,これが立証できればこの無免許運転も交通事故とは別の道路交通法違反が成立します。
 よって,本件では併合罪加重があり得ると思われるので,先ほどの自動車運転過失致死罪の上限7年の1.5倍である懲役10年6月が上限となると思われます。

 なお,この併合罪加重は,他の同乗者少年2人が無免許であれば,これらの方々についても同じことがいえると思います。
 すなわち,同乗者少年2人の現在の逮捕されている被疑事実は「無免許運転を止めなかったことによる幇助」です。
 しかし,報道等によれば,少年3人は交替で運転をしていたようですから,もし同乗者少年らが無免許であれば上記幇助罪とは別に道路交通法違反が成立するため,併合罪関係に当たると思われるからです。
 ただし,この場合の上限は,無免許運転の道路交通法違反の罰則は「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」ですから,併合罪加重に当たるとしても1.5倍の懲役1年6月が上限になると思われます。
 ですが,そもそも同乗者少年2人については,主犯ではないため,いわゆる逆送致による刑事裁判を受けずに少年審判で終わってしまう可能性もあるのではないかとも思われます。その辺りは今後も様子を見るしかないでしょう。

 と,以上のとおり整理してみましたが,日常的に刑事事件を目にしている私でもあまり考えたくないというのが正直な感想です。
 どんな刑事罰が下ろうとも被害者の方,被害者のご遺族,ご家族が納得することはあり得ないので,そもそもこのような痛ましい事故が起きないことを願うばかりです。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(1)  | trackbacks(0) | 19:10

Comments

したり顔で法律講座を開いてるバカがネットにウジャウジャ湧いてきてますよね
だから日本の法律は犯罪者を守るために存在するって言われるんでしょ

  • []
  • 2012/05/14 6:49 PM

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