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 こんばんは。

 東日本大震災から1年半が経ちますが,まだ震災の被害や,震災に伴って発生した原発の被害は終息しません。
 特に,原発被害は,避難地域等において,住む場所も職も財産も奪ってしまい,その被害回復は今なお今後の課題として残っております。

 そんな中,東京電力によって現在も賠償金の支払いが行われているところですが,今日のニュースの中で,避難生活中に結婚をした複数の女性に対して,結婚を理由に賠償金のうち精神的苦痛に対するものについて支払を打ち切ったというものがありました。

 この話題に触れる前提として,賠償金には幾つかの種類があるということを述べておきます。
 賠償金といっても十把一絡げではなく,財産を失ったのであれば財物賠償を,仕事を失ったのであれば休業損害をというように様々な種類があります。
 そして,その中に,事故によって避難生活を強いられることになったことに関する精神的苦痛に対する賠償,世間ではよく慰謝料と呼ばれているものがあります。
 この精神的苦痛に対する賠償については,原子力損害賠償紛争審査会の中間指針において原則月額10万円とされております。

 今回の話は,この精神的苦痛に対する賠償について,結婚により生活基盤が整ったとして,東電より支払いが打ち切られたというものです。

 ある女性のケースでは,結婚を理由に,昨年11月以降の支払を打ち切りを通告されたのですが,原子力損害賠償紛争解決センターに事件を申し立て,今年5月分までの支払を受けられるという回答を受けました。
 しかし,6月分以降については,賠償請求に関する書類が来ていないということでした。

 東電の賠償基準においては,結婚による精神的苦痛に対する賠償の打ち切りというようなものはないものの,何かの理屈を立てて支払を打ち切ったということだと思います。
 ただ,私としては,やはり今回の対応は問題であったと思います。

 東電の原子力損害への賠償はつまるところ税金が財源になっていますので,その損害を考えれば軽々に打ち切りなどということはできないものの,一定の部分で線引きをしなければいけないことはよく分かります。
 しかし,今回の様な結婚による精神的苦痛に対する賠償の打ち切りは,理屈面でもなかなか厳しいものであろうと思います。というのは,結婚によって生活基盤ができたとしても,長期的避難による精神的苦痛が消滅するというのは困難と思うからです。
 仮に,結婚によって精神的苦痛がいくらか緩和されたであろうとして10万円から減額したいと考えるにしても,それを予め基準として述べておかないことは問題であると思います。なぜならば,いきなりそのような措置を執られてしまうのであれば結婚はしなかったという方もいらっしゃると思うので,その判断する機会を奪ってしまうことになるからです。
 また,このような考え方は,被災者が結婚をするということが悪いことであるというような考えを抱かせてしまう可能性があることからも,私は問題であったと思います。

 この措置を巡っては,文科省やエネ庁も批判をしておりますし,私としては遠くない将来に追加分を支払うという結論になるのではないかという気がします。
 ですが,そういう判断になることが見込まれるのであれば,初めからこのような措置を講じない方がよかったのではないかとも思えます。
 東電は,今回の一連の件で世間の評判を著しく落としてしまいました。私としては,会社自体の判断に問題があるものは大変多かったとは思いますが,真面目に働いていた社員一人一人自体を責めるのは別問題であると思っています。
 しかし,今回の様な対応は,結局東電の世間における評価を一層貶め,「結局東電は事故を教訓に何も学んでいない」と捉えられてしまい,東電という会社だけでなくその社員もますます居場所がなくなってしまうのではないでしょうか。
 上記の様に,ある程度賠償金に線引きをしたいという希望自体は理解はするものの,そのやり方をもう少し考えて頂く必要があるのではないかと思いました。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 18:55

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