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 こんばんは。


 今日は,注目されていた最高裁判決が下されたので,それに関する若干の感想を書いてみたいと思います。

 この事案は,2010年に配偶者の不貞が発覚し,2015年に離婚した後,配偶者の不貞の相手に対して慰謝料の請求をしたという事案です。

 この問題の根底にあるのは,消滅時効の起算点です。
 2010年の不貞発覚当時,この配偶者の不貞の相手に対して既に慰謝料請求権を持つこととなりましたが,この時効は3年となります。
 そのため,2015年に離婚して改めて配偶者の不貞の相手に対して請求をする時点では,不貞に基づく慰謝料請求権は時効にかかってしまいます。
 そこで,離婚の原因自体がこの不貞にあることを根拠に,配偶者の不貞の相手に対して,離婚に基づく慰謝料請求が認められるかということを争うことにしたというようです。

 1審と2審は,不貞の相手に対する離婚に基づく慰謝料請求を認めましたが,最高裁は,「特段の事情がない限り請求できない」として認めませんでした。

 確かに,不貞という社会的に許されない行為について,これを許容する可能性があることは問題であろうと思います。
 それ自体を私自身許容するという考えもないのですが,離婚に基づく慰謝料を認めるべきかという点はまた別だということでしょう。

 まず,不貞の発覚が2010年,離婚が2015年ということですが,このような場合に離婚に基づく慰謝料請求を認めると,不貞に基づく慰謝料請求に関する時効は意味がなくなってしまうということを問題視したように思います。

 次に,離婚の原因を不貞に求めることが適切かどうかという点があります。
 こればかりは人によるということなので,一概に因果関係がないということはないのでしょうが,不貞が発覚した場合,一般的な夫婦関係はかなり厳しい状態に陥るわけで,そこから5年経ったのだとすると,離婚に対する不貞の影響はどの程度だったのだろうかと思うところです。
 もちろんそれなりにあったろうと思うのですが,これだけの期間があくと,この期間の言い争いなどの人間関係などの別の原因も相俟って離婚に至ったという可能性も否定できないように思います。

 一般的に,不貞の慰謝料請求の相場がありますが,これは不貞によってその後離婚に至ったかそうでなかったかによって大きく差が開くことになります。
 もしも2010年当時に不貞に基づく慰謝料請求を行っていれば,その当時は離婚に至っていないわけですから,金額は低くなっていたかも知れませんが,2015年の離婚時に慰謝料請求を認めることで慰謝料が高額化するというのは状況によっては違和感が生じるところでしょう。
 もちろん2015年にもこの不貞問題に関する夫婦間の争いが続いていたということもありますから,一概に全てを否定するわけにはいかないでしょうが,一般論として認めていいと考えるのはどうかという気もします。

 また,今回の事例は,不貞の時効期間と離婚に至るまでが比較的近い時点だったからこの論点になったと思います。
 しかし,例えば不貞が発覚したのが2000年で,そこからずっと離婚の協議を重ねていて,2015年に離婚に至ったという場合,ここで慰謝料請求を認めることは15年前の不貞を原因とすることになるのでしょう。
 何度も言いますが,不貞自体を許容するつもりはないものの,さすがにこれだけ時間が離れてしまった不貞行為の慰謝料を認めるということは,時効制度を認めた法律の趣旨にも反するように思えてきます。
 そうすると,もしも最高裁が今回の件を認めてしまうという場合,離婚から不貞がどのくらい離れていれば認めるのかということも同時に考えねばならないと思われます。

 この問題は,結局不貞の影響力の及ぶ範囲がどこまでかという問題意識があるように思われます。
 時効期間相当の時間が経ってしまう場合,離婚に至ったとしても不貞以外の要素も絡んで離婚に至ったということもなくはないかもしれず,一般論として離婚に基づく慰謝料を認めることは躊躇いがあるということなのではと思います。
 その上で,「特段の事情」とやらがある場合は,その事情と離婚に因果関係があるとして離婚に基づく慰謝料を認めましょうという考えのように思えました。

 今日判決が出たばかりできちんと分析できていないことから,もしかしたらここで書いたことを後で撤回するかも知れないのですが,とりあえず今のところの感想をざっと書いてみた次第です。


 先日登板した阪神の藤浪さんは,相変わらず速球の速度は出るものの,3回7安打2失点とあまりよろしくない結果に終わりました。
 今日は,合計291球を投げ,肘の使い方の修正や,下半身主導のフォームがためを行ったということでした。

 個人的には,球数を投げることは反復練習で体に覚え込ませるということでいいことだとは思うものの,問題は今覚え込ませようとしているフォームなどがいいものかということだと思います。

 先日も書いたとおり,藤浪さんの問題の根源は技術であり,死球などで危機的状況に陥ったとしても立ち返れる技術があるならば打開できるのだろうと思います。
 その上で,残念ながらその点について不足しているため,何かのきっかけで崩れてしまうのではないかと思うのです。
 もしもそうならば,技術をある程度身につけさせるべきであり,藤浪さんに適合するフォームなどを調整する作業が第一だろうと思います。

 藤浪さんに適合するフォームなどであれば,反復練習ですり込むべきですが,試行錯誤であるならば球数よりも試す作業をもっと行うべきではないかという気がするのです。
 試す作業にはある程度の球数は必要だと思いますが,300球近い投げ込みは試す作業というよりは投げることに執心した一心不乱というべき状態と思われ,それが今の藤浪さんに合うトレーニングなのかというのはやや疑問です。

 藤浪さんほどの投手を育成することは,阪神だけの問題ではなく,日本球界の問題です。
 それだけに,これだけの逸材を本気で立ち直らせてもらいたいと思いますし,阪神も真剣に取り組んでいると思うのですが,球数を投げたという記事は何となく方向性として違和感がありました。


 また思いついたら書きます。ではでは。


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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:22

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