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2012.04.28 Saturday
 こんばんは。

 今日は家からなかなか出かけられないので,ネットを色々見ていたところ,あるサイトを見ていたらもう一つ記事を書いてみようと思いました。

 そのサイトの記事は,退職トラブルに関するものでした。
 内容としては
・会社のミスで損失を与えたことによって給料天引き。そして,退社を願い出るも,退職を認めず,やむなく出社を止めた後に送られてきた離職票に記載されていた離職理由が懲戒解雇だった。
・過労で倒れた後に退職を申し出るも認められず,部屋に缶詰にされる。その後鬱病の診断書を取って退職したものの,会社から2000万円の損害賠償請求の訴えを起こされる。結局,その訴訟では,逆に1000万円の未払い賃金の判決を得る。
等の事例が書いてありました。

 私も退職トラブルについてはよく相談を受けますが,そもそも労働関係の法律について労働者だけでなく使用者も誤解してはいけないことがあります。それは一般常識からは許されていると誤解されがちなことですが,以下に述べることはよく覚えておいていただく必要があると思います。
・給料の天引きは,労働者の同意がなければやってはいけない。
・懲戒での減給は要件が厳しい。
・懲戒での解雇はもっと要件が厳しい。
・整理解雇は判例のあげる4つの要素を考慮しないと認められない。

 ドラマやマンガでは給料天引きや解雇がよく出てくるため,これらが使用者の自由でできるように錯覚しがちですが,上記のように常識的な考えよりも使用者のできることは極めて少ないということを理解していただきたいと思います。
 そして,もし上記の点に反することをした場合は全て無効,つまり天引き分の給料は未払いとして使用者に改めて請求できるし,解雇と言われても引き続き労働することができるということです。
 私の感覚では,法律を持ち出すとむしろ使用者側が不利になることが多いという感じです。

 では,退職トラブルについてはどうでしょうか。
 これに関する法律の規定は,期間の決まっている労働契約かどうかで扱いが変わることになります。
 まず,期間の決まっていない場合は,辞めたい日の2週間前に辞職を申し出れば辞めることができます。
 次に,期間の決まっているで,期間の途中で辞める場合は,やむを得ない事由がある場合は可能ということになります。
 一般的に会社側で労働契約書を作成する場合は,1年くらいの期間を定めたもので,かつこれを自動的に更新するようになっている場合が多いですから,このやむを得ない事由を整えれば辞められるということになります。つまり,使用者側が拒絶してもやむを得ない事由があれば可能ということになります。

 よって,法的には使用者側はやむを得ない事由があれば辞めさせられないということはできません。
 まして,辞めた方に対して賠償請求をするなど言語道断で,私の経験上では認められる場合が想定しかねます。
 私としては,もしも退職トラブルに見舞われた場合は,できるだけ早く弁護士に相談していただいた方がよいと思います。
 その場合には,やむを得ない事由が揃えば退職が認められることになるでしょうし,それだけでなく未払い賃金,未払い残業代などの金銭請求を使用者側にできるときすらあると思います。

 また,懲戒解雇や整理解雇扱いをされてしまった場合も,これを無効として争う価値はあると思います。
 これを無効とすれば,再び社員として復帰しなければならないのだから意味はないのではないかとお考えになられる方もいらっしゃるかもしれませんが,無効を争う意味はそれだけではありません。
 無効となって会社に復帰するのが嫌なのは,こちらだけでなく相手方もそうですから,労働審判という制度で無効を争った場合,会社と和解して,自分の会社における地位がないことを確認する代わりに和解金をいただける可能性があります。すなわち,解雇無効を争うことによって,会社の中での従前の地位を勝ち取るという選択肢の他,和解金を受領しようという考えもできるということです。

 もしも不幸にして退職トラブル等に見舞われてしまった場合は,自分が実は有利な立場にいるということもあると思いますので,是非とも弁護士に相談していただければと思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | よろずごと | comments(0)  | trackbacks(0) | 18:17

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