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 こんばんは。

 昨日,東電の社長が一般家庭の電気代の値上げについて言及しました。
 その際,東電の西沢社長は,「料金の申請というのは,われわれ事業者としての義務というか,権利ですので」と話をしたということでした。

 この発言に対する率直な反感は一度横に置いた上で,一つ考えてみたいと思います。
 契約の本質に遡れば,供給側である東電から電気料金の値上げを要望して,受け手である利用者がこれに合意をして値上げした内容の契約が成立することになります。
 この点で社長の発言を振り返ってみると,確かに供給側である東電から料金に関する要望を言うことは契約の一方当事者の権利ということで,言っていること自体はそんなに間違いないと思います。
 しかし,関東地方周辺において電気を供給するのは東電のみなので,東電が「こうしたい」といえば,電気を使って生活していこうと考えるのであれば受け入れざるを得ないと言うことになります。
 その意味では,独占業者という性質を考えれば,値上げについてもう少し慎重な態度を示すべきなのではないかというようにも思います。なぜならば,今回の東電の態度のように,値上げに対して利用者側の納得など不要という態度を出せるようになってしまうからです。

 では,なぜ値上げの話になるのでしょうか。
 一つには,原発が使えない分,火力にウエートを置くことになり,その分火力の燃料代の増加が見込まれるということなのでしょう。
 また,原発災害の賠償金を捻出するためということも考えられます。
 そのほか,私が思うに,東電が節電を迫ったために収入自体が減少したこともあるのではないかと思いました。
 昨年は,電力が不足するなどとして,電気予報なるもの(後日,ここで示されたパーセントが全てではないということを言っている,大変疑わしい代物です。)を出したり,本当に必要だったか疑問の余地のある計画停電を実施したり,夏は計算上十分な電力がまかなえるにもかかわらず節電を強いて来たりしたわけですが,まさか電力消費量が減少したために収入が減少したツケを電気料値上げの理由にしようとしているのではないかと疑っております。
 以前ここで触れたことがあると思いますが,東電が無意味に節電のピーアールをしていたのは,国民に電気の貴重さを思い知らせ,ひいては東電の存在の大事さを感じさせる意図があったのではないかと勘ぐっております。もし,そのような意図での節電騒動からの収入減で,その分電気料金の値上げ分に反映されたのであれば,何と言って良いのか分からなくなります。

 賠償額の大きさを考えれば,結論から言えば多少の値上げは受け入れざるを得ないと思います。
 また,今まで原発の恩恵を受けて電気料金が低く抑えられていたという側面があるのであれば,その意味からも値上げはやむなしと考えざるを得ないでしょう。
 しかし,値上げに関して利用者の納得が要らないとしても,福利厚生や社員のさらなる給料カットをしてからなどやりようがあるのではないかと思ってやみません。
 東電に統制力を加えられるのは,東電を何とか生かしてあげている国だけです。
 国の役割には大いに期待したいところではありますが,あまりダイナミックな動きは警戒せねばならないかもしれません。
 民主党は今のままでは選挙に大敗するおそれがあり,最近突然議員定数の大幅削減に取り組み始めるなど,票集めのために何でもしそうな雰囲気を醸しだしております。その延長線上に東電を締め上げて票を伸ばそうという発想が出てくるとすれば,安定した電力供給という本来の最大の目的を損なうことにもなりかねないので,その辺は注意していきたいと思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 19:14
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