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 こんにちは。

 昨日の最高裁判決で,遺言に関するものがあったので取り上げてみました。

 この事件では,亡くなった父の自筆証書遺言に左上から右下にかけて赤いボールペンで1本斜線が引かれていたというもので,これが有効か無効かということが問題になりました。
 一審も二審の広島高裁でも「元の文字を判読できる程度では破棄ではない」として有効と判断しましたが,最高裁では無効という判決が下されました。

 事件の証拠関係等の詳細はわかりませんが,遺言の破棄については特段の規定はなく,本件の争点は遺言作成者の意思がどのようなものであったかということであったと思われます。
 そして,最高裁は,赤で斜線が引かれていたということは,通常はこの遺言はなかったことにしたかったという遺言作成者の意思があったのだろうと考え,「故意に遺言書を破棄した場合に該当する」として無効としたのだろうと思われます。

 この判決は結構重たいものだろうと思っています。

 遺言書はいくつかの形式がありますが,主に使われるのは自筆証書遺言と公正証書遺言だと思われます。
 うち,公正証書遺言では本件のような問題は起こりません。なぜならば公正証書遺言は,その文書自体を作成するのは公証人であり,遺言作成者が自筆するものではないからです。

 自筆証書遺言の場合,遺言作成者が法律の形式に従って自筆して作成するものであり,このようなことが起こりうると思います。
 特に,公正証書遺言は公証人や立会人がおりますから,どのような内容のものができたのか他人がわかっていますが,自筆証書遺言は本人以外その存在を知らないこともあったりしますので,作成者がどのように作ったのかはわからないということもあります。

 これがなぜ問題かというと,まずは遺言作成者の真意が斜線一本ではわかりづらいということが挙げられると思います。
 一般的に,赤斜線が紙に引かれていれば,それは間違って撤回するという意思の表れのように思います。
 しかし,もしも本当に破棄したいのであれば,斜線を引く程度ではなく,物理的に破棄すると思います。
 この事案では,1986年6月に遺言を作成したのですから,そんな誤ったと思う遺言を作成したのであればもっと以前に物理的に破棄していてもいいと思います。
 また,前の遺言の内容を撤回したいとして破棄するのであれば,新しい遺言を作っているかと思いますが,本件ではそうでもないようですし,その意味では作成者の真意を斜線一本ではかってよいものかというように思います。

 次に,自分に不都合な遺言を見つけた遺族が遺言に斜線を引くということがあり得てしまうのではと危惧する点です。
 自筆証書遺言は,公正証書遺言と異なり,遺言作成者が亡くなってから,家庭裁判所で遺言書を開封する検認という手続を経なければなりません。
 その意味では,検認というハードルを考え,遺族が開封して作為を加える可能性は低いのかもしれません。
 しかし,検認を経ていないで開封すると無効かといえばそうではなく,無知であるという建前の下で遺言を開封してしまって後日検認を受けるということもできなくはありません。
 検認に関する違反があった場合,5万円以下の過料に処せられるというペナルティはあります。
 また,故意に遺言を隠したりした場合は相続欠格になったりするなどの重い制裁の可能性もありますが,かといって自分が斜線を引いたことが発覚しなければよいとよからぬ考えを持つ者の出現もありうるのではと危惧したりします。

 個人的には,この最高裁の判断は事実認定としては常識に叶うところもあるようには思うのですが,かといって今後の遺言に関する影響も懸念しております。
 私も遺言に関する事件は日常的に取り扱いますが,今後この最高裁判決を頭に入れて話を聞いていかねばならないのだと思いました。


 阪神の新外国人がマット・ヘイグさんに決まったということでした。
 ヘイグさんは今季3AでMVPですから,逸材なのは間違いないでしょう。
 ホームランバッターというよりはアベレージヒッターのようで,ポジションは1塁と3塁と聞いております。
 阪神は5番3塁で計算しているという情報もあります。

 確かに阪神の3塁は固定されておらず,かつマートンさんはホームランというよりはアベレージを期待された方であった以上,その穴埋めとしては最適な人材のようにも思われます。
 一方,守備についてはやや不安が残るということや,内角の球への対処に問題があるという話などがちらほら出てきていて,そのあたりに多少の不安もあります。
 もちろん,不安のない選手であれば,そもそもメジャーにあがって活躍しているはずですし,ある程度の問題点があることは前提として考えるべきでしょう。
 そして,それらの問題点が日本球界でどこまで顕在化するかというのがあくまで問題の本質であり,阪神に来るということになったのであれば今は純粋に期待だけするのがよいというように思っています。

 しかし,3塁にヘイグさんが入るとなると,新井良太さんと今成さんをどうするのかという問題はあるかと思います。
 両選手ともに他のポジションも守れますが,かといって他に空きがあるかといえば外野も激戦区ですから,よほど打力などの長所を見せなければ控えに甘んじてしまうことが危惧されます。
 両選手においてはここからが正念場だと思うので,何とか活躍をしてもらいたいと思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。

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三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 11:40
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