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 こんばんは。

 今日のニュースを見ていたら,首相官邸で開催された社会保障制度改革国民会議において,死亡消費税の導入が提案されました。
 死亡消費税は,消費税のように,国民全員が死ぬ時,遺産から一定の税率を社会保障精算税として納めさせるものということです。

 私としては,このニュースを見ていているだけなので,その弊害のカバーの方法まで論議されたのかを確認できていないため,この税の導入について現段階では何も言えませんが,パッと思いつくだけで幾つかの弊害が考えられます。

 まず,亡くなった方の財産が,不動産のような金銭以外の財産ばかりの時の弊害が考えられます。
 すなわち,この場合,不動産にそれなりの価値がある場合は,それなりに高額な税額がかけられるわけですが,その支払い原資を遺産から出そうにも現金がないので,相続人が自身で現金を捻出しなければいけなくなると思われます。
 このことは,現在の相続税でもしばしば問題になりますが,相続税はある程度の遺産のある方にしか問題とならないものの,死亡消費税は万人に問題となるので,多分広く社会問題化するのではないかと思います。

 次に,死亡消費税を納めるとすれば,通常の消費税のように確定申告をすることが必要になると思われます。
 そうでなければ,国の方で税の基礎となる遺産を確認できないと思われるからです。
 そうすると,今後はあらゆる遺族が確定申告義務を負うことになり,その手続の煩雑さをどうするのかが問題になると思います。
 特に,これまであまり親族と縁のなかった方も,法定相続人ということで確定申告義務を負うという範囲が広まるため,未申告事案が大量に増えるのではないだろうかと思います。
 それらの未申告事案を全て脱税とするのであれば,これもまた大きな問題となると思います。

 それとあわせて,税務署側にも相当な負担になることが考えられます。
 なぜならば,一気に国民全員が課税対象となる税目が増えるので,単純にその分の作業が増えることになるからです。
 それは,申告書の確認作業だけでなく,死亡者の確認作業もあるでしょう。
 死亡者の連絡は市役所等からなされるように制度ができるのではと思いますが,それにしても相続人が死の事実を隠していた場合もそれを探索しなければならないという事態もあるかもしれません。

 他にも幾つか弊害として思うことはありますが,この点がもっと広く広まれば私の思いつきを超えて色々な問題提起がなされると思いますから,ひとまず私の思うところはここまでとします。

 死亡消費税の発案理由としては,現在の相続税の適用範囲が狭いということで,広く万人から税収を集めるにはというところなのだと思います。
 しかし,相続税が課せられるだけの比較的裕福な家庭であればともかく,そうでもないという家庭に対して一律に死亡消費税をかける,確定申告義務を課すというのは少々乱暴な気がします。
 もちろん,これを設けるに当たっては弊害をカバーする措置を色々と講じることでしょうし,それらを総合して見てみないとその是非を述べることはできかねます。
 しかし,新税の導入よりも,相続税の適用範囲を広げるという方向で調整することはできないものだろうかと思ってしまうところです。
 新しいものを導入することも考え方としては必要とは思いますが,その前に今あるものを見直すことも同じくらい大事なように思います。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 19:01
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