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 こんばんは。

 昨日から改正道路交通法が施行され,そのうち自転車の通行可能な場所が変更されたり,逆送が禁止されたりすることとなりました。
 このうち,逆送については大きな改正なので,念のため以下に確認しておきます。
 改正前は自転車が通行可能な路側帯は双方向に通行可能でしたが,改正後は自転車が通行可能な路側帯は道路の左側部分に設けられた路側帯のみ通行可能になったということでした。
 このルールに違反すると,3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金というペナルティが科せられることとなりました。

 この改正は,近年よく取り上げられる自転車対歩行者の交通事故を念頭に,その規制を強化したということなのだと思います。
 しかし,私としてはこの規制は意味のあるものになるのだろうかと不安視しています。

 まず,ルールの遵守を徹底するのであれば,そのアナウンスをもっとしっかりすることが大事であると思います。
 もちろん,法を知らなかったとしても罰せられることにはなるのですが,この規制の目的は処罰ではなくルールの徹底ですから,もっと充実したアナウンスが必要であると思います。
 昨日から施行された割には,このことが本当に世間に認知されているのだろうかと不安になるくらいアナウンスを目にしておらず(もしかしたら私だけ見ていないだけなのかもしれませんが),その意味では本当にルールを徹底させるつもりがあるのだろうかと思ってしまいます。

 次に,このルールがどれだけ守られるのだろうかということです。
 自動車の場合,運転に対するペナルティは罰金のほか免許の点数という形で反映されるため,遵守しなければという動機付けになると思いますし,警察も規制を強化していると思います。
 しかし,自転車の場合,これまでもそれほど規制が強くはなく,また免許制度もないため,それほど世間で遵守しようという空気もなかったように思います。
 また,実際問題,歩道は歩行者がメインで,車道は自動車がメインになっており,自転車の立場は宙ぶらりんであったところ,特にその点に関して整備されることなく法律だけが勇み足のような形で規制だけが進んでしまったという印象です。
 このルールの守るべきものが人の命である以上,交通整備よりも先にルールを決めようという優先順位自体は理解できるのですが,それでも自転車に関する交通整備は一向に進むことはなく,その兆しすら見受けられません。
 自転車に関して規制のみ強めたところで,それが実体の自転車運転にマッチしない形になっている以上,実際に守られるのだろうかという疑問があります。
 というか,きちんと交通状況が整備されていない以上,この交通ルールが愚直に守られるとすれば,自動車対自転車の交通事故が増加するだけで,むしろ悪法であるようにすら思われます。
 そうすると,この逆送に関しても,違法ではあるものの,実情が考慮され,取り締まられるのはごく一部ということになるのではないかと思っております。

 そうなれば,私は,ルールはできたものの,このルールは空文化,死文化してしまって,ごく僅かな場面でのみ適用されるようになってしまうのではと思います。
 私も,自転車に対する適切な規制はなされるべきと思います。
 しかし,その規制は罰するためではなく守られるために作られるのですから,まず第一にはどのような交通状況を作るのが理想であるか青写真を描き,第二に状況を整備した上でルール作りを行い,それからそのルールを周知するということが必要であると思います。
 にもかかわらず,今回の法改正は三番目に一足飛びにいってしまって,それまでに必要な二段階が欠けているように思えてなりません。
 私は,いたずらに規制ばかりして,自転車運転はどうなるのだろうという不安だけ抱かせる今回の法改正には疑問を感じました。

 また思いついたら書きます。ではでは。
三枝康裕 | ニュース | comments(0)  | trackbacks(0) | 23:20
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